野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2018-01-01から1年間の記事一覧

科学的なものの見方の特徴「心身二元論」

現在行われている西洋医学は、正確には「西洋近代医学」と言います。これは西洋の近代的医学の意で、西洋医学が自然科学の基礎を確立したのは19世紀になってからのことです。 しかし、西洋医学の長い歴史の中には、西洋的なものの見方に一貫した原理がありま…

ものの観方の違いを学ぶ意味

私たちが体のことを意識するのは何か問題を感じた時(異常がある時)が多いのが一般的だと思いますが、そういう時、判断と処置の指針となるのが西洋医学です。これは病院で行われる診療が基づいている医学のことで、解剖学、生理学、病理学、薬学などの知見…

西洋医学の心身観・野口整体の身心観 1

はじめに 金井先生の「野生の思考」についてこれまで書いてきましたが、ここからが本題です。「野生の思考:みすず書房」は、二十世紀最大の人類学者と呼ばれるフランスの文化人類学者レヴィ=ストロース(1908~2009)の代表作の題名で、私はこの言葉が金井…

野口整体と科学 2

野口整体と科学における身心観の違い 1で述べたように、私には「頭ばかりが先だって、身体が分離している状態」があったわけですが、それは急にそうなったわけではなく、次第にそのようになってしまい、立ち止まることも気付くこともなくここまで来てしまっ…

野口整体と科学 1

私と身体の関係 今回、この文章を書くにあたり、私はこれから野口整体を始める人に整体のことをお話しするとしたら、何から始めるだろうか、と改めて考えました。私はやはり、「自分」と「体」の関係について話し始めたいと思います。 私自身、自分と体との…

西洋医学と野口整体 ガレノスとヒポクラテス 2

野口先生は「西洋医学は死体解剖学を基礎としている」と、折に触れ説いていますが、金井先生はそれを「体表中心医学」と「内臓中心医学」という対比でも論じていました。 ※体表・・・体壁系とも言う。皮膚、骨格筋など体の外側から身体全体のはたらきや内部の状…

西洋医学と野口整体 ガレノスとヒポクラテス 1

ヒポクラテス(前四六〇年頃~前三七〇年頃)古代ギリシア ガレノス(一二九年頃~二〇〇年頃生) 西洋医学の基礎を築いた医師として、ヒポクラテスとガレノスの名が挙げられます。ガレノスはヒポクラテスの継承者とされることが多いのですが、ガレノスとヒ…

金井先生の「野生の思考」3

近代科学とは何かを学ぶ こうして、金井先生が現代文明(天風師の言う物質文明)の基礎となっている「近代科学」について学び始め、その先達となったのが戦前生まれの井深大、湯浅泰雄、石川光男、河合隼雄、立川昭二氏ら五氏の著書でした。 そして、鈴木大…

金井先生の「野生の思考」2

こうも頭で生きる人が多くなってしまった 金井先生は2006年から、「近代科学と東洋宗教」、「科学の知・禅の知」という、思想基盤の枠組みの違いから「野口整体とは何か」を説き起こす仕事に取り組みました。 その理由について、金井先生は『「気」の身心一…

金井先生の「野生の思考」1

金井先生の説いた生活指針 先日、資料の整理をしていたら、以前に金井先生から頂いた生活指針?のようなものが出てきました。その全文をここに紹介したいと思います。 〇身体感覚の向上。(心の高きを、深きを求める) 〇病症を自然経過する。(潜在体力の発…

金井先生とのご縁

私は金井先生に2005年に準塾生として、2006年から塾生として入門し、 体は心であり、心は体である。身心一如。 心が変われば、体も変わる。体が変われば、心も変わる。 という金井流個人指導を学んできました(後にこの言葉の元となった内容を紹介します)。…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 7

生き方としての野口整体 思い切って短くしてありますが、④の最後にある引用文が塾で最初に教材になったのは、塾生になって二年目ぐらいのことでした。私はこれを読んで金井先生の講義を聞き、先生がやってきたこと、そして自分はこれから何をやっていくのか…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 6

全生思想を自分の生き方にするために そして私は、「整体式の出産・育児」をやってみたいと思う人の中には、自身の裡に親に対する不満や批判があったり、野口先生が厳しい視線を向ける親ではなく、子どもの立場に感情移入する傾向があり、その上身体的な基礎…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 5

存在するのは感じたことで、感じないことは存在しない 方法論ではない野口整体も同様に、まず著書や月刊全生に書いてあることを自分に適用してみる。潜在意識のはたらきを、自分の体を通して実感してみる、また分析して日に当てる。 また、自分では意識でき…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 4

整体式子育て以前の問題 私は、金井先生の塾生になって一年ほど後に出会った頃、ある女性に出会いました。私は彼女を通じて、整体式子育てにまつわる問題を考えるようになったのです。仮にSさんとしておきます。 Sさんは仕事に行き詰まりを感じていた頃、野…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 3

人間を観るということは 私は野口整体に出会ってから『叱言以前』『躾の時期』『思春期』などを読み、そこにある野口先生の子どもを観るまなざしを通して、「愛するとはこういうことなのか」と思ったものです。そして「こんな風に子どもを産み育てることがで…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 2

体にくっついている心、体と一緒に動く心 では、野口整体で言う「潜在意識」とはどういうものか?についてお話しします。 野口整体で言う潜在意識とは「体に変化を起こすはたらきとなる心」のことです。心理学的には「意識できない心」と言うことが多いと思…

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 1

潜在意識教育とは 野口整体の潜在意識教育は、「健康に生きる心」を育てることを目標としています。 教育目標というと「社会に有益な人材を育てる」などと言われることが多いのですが、野口晴哉先生の考えたことは、「人間の体が健康であり、元気である為に…

金井先生の個人指導2

情動の停滞と無意識 精神科医のフロイトは無意識を意識が排除した記憶の倉庫のようにとらえました。しかし同時代の精神科医で弟子でもあったユングは心をエネルギーとして捉え、心の深層にある源泉・無意識からこんこんと湧き出し、流れているのが心の健康な…

金井先生の個人指導1

暗い雲の向こうはいつも蒼い― 情動の持続と抵抗力(自然治癒力)の低下 野口整体では、体の歪みや硬張りのことを「偏り疲労」と言います。これは意欲的、自発的に何かをした時、身心が統一し集注した状態で何かをした時には全身が疲れ、睡眠によって疲れが抜…

蒼龍の生まれた日

はじめまして 私は、近藤佐和子と申します。2018年に師が亡くなり、2018年12月、道場のあった熱海から神奈川県相模原市(小田急相模原)に越し、指導者の道を歩んでいます。 三年ほど前、わが師金井蒼天(省蒼)先生が省蒼改め蒼天という名前にする時のこと…