野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2019-01-01から1年間の記事一覧

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 三2

西洋医学の身体観が人間に与えた影響 ①死体解剖学に始まる西洋近代医学 近代科学発達以後、心身二元的・機械論的生命観が確立され、近代医学においては、患者の身体は客観的に検査され、治療される対象となりました。 一方、生きている人間の身体は、人とい…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 三2

「生活している人間」を、手と目で観る野口整体 中村雄二郎氏は、科学の発展に伴う視覚の特化がもたらす「切断(分離)」(註)と、全体性を捉え「結びつける」はたらきを持つ触覚について述べています。この内容は、すでに上巻で紹介しましたが再考してみま…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 三1

人を「モノ」として見る機械論的人間観と現代医療 今回から序章の括りに入ります。登場する助産師は、上村医師と同様、金井先生の個人指導を受け、準塾生として勉強している人でした。 上村医師の話していた冗談で、総合病院では脳外科医、心臓外科医は花形…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二9

野口整体・金井流について 金井 それで、野口整体といっても「金井流」かもしれませんが、どんな感じなんでしょうか? 上村 実際に金井先生の整体指導を受けてみて、一番感じるのは、体と心の感覚の芽生えが加速される感覚です。自分だけだと三、四ヶ月かか…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二8

「気の動き」と自分らしさ― 近代科学にはない「気」 金井「気で観る」、「気で気を観る」、と言うんですね。 本当に「気」が亢まった時は、触れなくても観えるんです。 指導時に「これで、うつ伏せになってごらん」と言うと、フッと眠くなるという場合があり…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二7

今回は、西洋医学の話から、野口整体金井流の個人指導の話に移ります。 個人指導と活元運動について―「静中動」ということ 金井 私の個人指導は、いつしか活元運動が併用されるようになりました。何年か前の指導においては、一部の人しかこういう形がなかっ…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二6

顔を見る・見ないという違い…「切り離す」西洋医学 金井 心身二元論による「客観的身体」というのは、「肉の塊」として観ているのですね。 上村 そうですね、手術とか本当にそうなんです。 お腹の手術をする場合、「術野」と言うんですが、外科医からはお腹…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 一5

解剖学を基礎とすることで生じる「思い込み」― 生きたまま観察することで分かること 金井 私が若い時に、お産をしたことのある女医さんが「出産直後に仙骨が「ぼきん」と音がしたので、動くかもしれない、と思った」と、テレビで言っているのを見たことがあ…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二4

西洋医学の機械論的生命観― 科学的方法には「自分が入っていない」 二人の対話は、近代科学のパラダイムである、心身二元論と機械論的生命観を、実際に人間に対して応用するとはどういうことか…という話に入ります。 金井 現在、医学が、特に科学的・機械的…

(補)西洋医学の視覚の特化と野口整体の共通感覚

西洋医学の視覚の特化と野口整体の共通感覚 補足として、以前のブログから、近代科学と視覚についての引用を抜粋します。 中村雄二郎氏は、近代と近代科学の発達、そして「見る」ことについて次のように述べています(『哲学の現在』)。 二 見る・聞く・触…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二3

視覚の特化によって「だれでもできる」ようになった 上村 レントゲンもエコーも、原理的には、エックス線や音波の通り具合によって、いろんな違いを見分ける。それをCTやMRIのような画像にして表現するというのは、コンピューターの技術なんです。 金井…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二2

画像診断が主流となっている現代医療 ―「視覚の特化」による医学の科学的発展は触診をしなくなった 上村 本当に敏感な人が患者を診ると、検査値にちょっとしか異常が出てないものでも、実はすごくよくわかる、というのが最近わかりました。教科書的には、「…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 二1

整体指導者・金井蒼天と医師・上村浩司の対話 2006年10月18日収録 今回から、対話篇に入ります。 収録の時、私も先生の隣で話を聞いていたのですが、二人の対話はスリリングな位に面白くて、本当に「エッジ」にいる、という感じがしていました。整体の観てい…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 一4

西洋医学の「科学性」と野口整体の「宗教性」 対談の中で、私が「野口整体は宗教である」と言っているのは、野口整体の行法(活元運動・個人指導)や、全生思想の基には「禅」があり、何より、これらが人の「生き方」に関与するものだからです(ここでの宗教…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 一3

西洋医学と野口整体の対比 二で紹介する上村氏との対談(2006年10月18日収録)は、次のようなところから始まったのです。 金井 今日は先ず、以前に少しお話しした「科学と哲学と宗教」というところから始めたいと思います。 上村 西洋医学というのは、科学的…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 一2

機械論を基盤とし病理学的研究に偏った西洋医学に対する疑問 上村氏は、当時のことを次のように綴っています。 私はかつて麻酔科医として多くの手術に立ち会ってきました。そして最終的に思ったことは、「医師として治療を行うとはいったいどういうことなん…

野口晴哉生誕百年―臨床心理による整体指導 序章 一1

野口晴哉生誕百年 今日から、中巻の序章に入ります。野口晴哉生誕百年、となっていますが、原稿の副題には「西洋医学に見る機械論的生命観」とついています。 金井先生は上巻『野口整体と科学』のはじめに で、「1926年(大正15年)四月、東京入谷に道場を開…

心療整体と五氏の思想との関わり―野口整体とユング心理学 巻頭二②

心療整体と五氏の思想との関わり 今回は二 心療整体と五氏の思想との関わりの続きです。 文中の故・柳田先生は、体量配分計による体癖研究の第一人者だった方です。立川昭二氏は、柳田先生の指導を長く受けられていました。お会いした時、「柳田先生の指導で…

心療整体と五氏の思想との関わり―野口整体とユング心理学 巻頭二①

心療整体と五氏の思想との関わり 巻頭 一「潜在意識は体にある!」は、すでに著書に収録されているので省略し、この原稿で加筆された二 心療整体と五氏の思想との関わり を紹介します。 本書でこれから紹介する五氏 第一章で取り上げる「からだ言葉」が私の…

瞑想法と心理療法―野口整体とユング心理学 はじめに③

ユング心理学を援用し「私の心療整体」を著す― 開放系の身心と全生・自己実現 私は、『病むことは力』のおわりに で、私の整体指導は「心療的な整体指導」であり、これは「自然流」である、と述べました。 そこでは、私の「自然流の心療指導」について、「……

(補)裡を整える

はじめに の途中ですが、『野口整体とユング心理学』に入るにあたり、内容全体を象徴する野口晴哉先生の語録を紹介します。 「それ」と「これ」 人間生活は外の条件によってだけで行われるのでは無い。同じ食物を同じ量食べても栄養度も元気も異る。その内部…

瞑想法と心理療法―野口整体とユング心理学 はじめに②

意識しない心のはたらきが自身を支配する 西洋では、人間の体を物として研究し発達した近代医学に対して、心を研究するべく、ジークムント・フロイト(1856年生 オーストリア)の精神分析学を始めとし深層心理学が発達しました(同じ学派にはアドラー、ユン…

瞑想法と心理療法―野口整体とユング心理学 はじめに①

瞑想法と心理療法 今回から、金井蒼天先生三部作の二作目、『瞑想法と心理療法 野口整体とユング心理学』を最初から始めます。 この本の表紙に載せるタイトルとサブタイトルは、 「科学の知・禅の智」シリーズ2『瞑想法と心理療法 野口整体とユング心理学』…

(補)11種・12種体癖について 体癖論Ⅱ

(補)体癖 12種・11種 11種・12種は〇型、というのはなく、感受性が過敏か、遅鈍かの体質によって分類されるものです。11種は感情や観念など、感じたこと思ったことがそのまま体に現れ、身体表現性障害(昔はヒステリーと言った)という病態に似ています。…

開閉型9種・10種②-体癖論Ⅱ 19

開閉型9種・10種それぞれの特徴 今回は9種・10種それぞれの特徴です。 金井先生から聞いた開閉型というと、宮本信子さん(俳優・9種)、蓮舫さん(政治家・9種)、藤原紀香さん(タレント・10種)が思い出されます(全員、他の体癖と複合している)。体系…

開閉型9・10種①-体癖論Ⅱ 18

開閉型9種・10種① 今回から開閉型9種・10種です。原稿としてもここが一番未完成で、どういうわけか野口先生の資料もあまりないのですが、自分の主体となる体癖ですので、頑張ります。 では、開閉型共通の特徴から始めます。 開閉型9種・10種 共通の特徴 …

(補)捻れ型の「勝ち負け」の世界

(補)捻れ型の「勝ち負け」の世界 捻れ型は本来、高度経済成長以前の日本に多かった、「喧嘩して仲良くなる」という、義理人情を重んじるタイプの人たちです。かつては、成功者と言えば克己勉励、努力と根性で事業を大きくしていくという捻れ型が多かったの…

捻れ型7種・8種②―体癖論Ⅱ 17

捻れ型7種・8種 それぞれの特徴 捻れるというのは、本来の体癖素質としてある場合と、成育途上での問題で発達の滞りがあり捻る習性がある場合があります。また、腰椎3番は誰にとっても中心となるところで、腰椎3番が弱い=捻れ型体癖、と教科書的に判断…

捻れ型7種・8種①―体癖論Ⅱ 16

今回はいよいよ捻れ型です。五つの体癖の中でも、捻れ型という言葉はからだ言葉的なニュアンスが強いように思います。名は体を表す、と言うか、イメージしやすいですね。 では、捻れ型の内容に入ります。 今回はいよいよ捻れ型です。五つの体癖の中でも、捻…

(補)前後型5種・6種 自由へのあこがれ

自由へのあこがれ 野口晴哉先生は、前後型五種体癖は現代文明の「生存適者」であると述べました。合理性に優れ、変化と発展性を求め、「自分の意志で行動する」自由を求める要求に敏感なのが、この体癖です。これに対し、六種体癖は自分が行動するよりも、周…