野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 一5

師野口晴哉の説いた潜在意識― 潜動意識・現動意識 師野口晴哉は、現在意識・潜在意識・無意識とはどのようなものかについて、次のように述べています(『野口晴哉著作全集第四巻』)。 三、心の構造 心の構造は、こうするとか、考えたり感じたりする表面を通…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 一4

深層心理学で「人間を理解する」とは― 客観的に、また一体となって相手を理解する 河合隼雄氏は深層心理学を学ぶ態度について、次のように述べています(『対話する生と死』臨床心理士養成のための基本的課題)。 一 臨床心理士の特性 …次に、臨床心理学にお…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 一3 

ユング心理学と出会う 石川光男氏の著作を通じて「科学の哲学性」を学び始めた少し後の2008年5月、指導に通う植月賢二君が『ケルト巡り』(河合隼雄)という本を持ってきてくれたのが縁で、ユング心理学を学ぶことになりました。 指導に通う人の中でユング心…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 一2 

西洋医療(近代科学)と人の心との関係 第二章(一 1③・2、三 1)で述べたように、野口整体が創立された昭和初期という時代背景には、明治以来の、政府による西洋近代医学の急激な普及がありました。 江戸時代までの多元的だった日本の医療は、1874年(明…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 一1

今日から第三章に入ります。 野口晴哉先生が、野口整体と宗教性について述べている文章がありますので、最初に紹介したいと思います(『月刊全生』)。 全生という理念で天心の生活を展開していこうとする。これは宗教というより哲学的なものなのであります…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 一

8 浪人中に出会った野口整体 その後、浪人生活が始まり予備校に行きました。それからは高校から解放され、随分気持ちが楽になったと思います。 心機一転、四月からは結構勉強して、農学部に行くのなら、一番の学校と思っていた「北海道大学へ」と、進路を決…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 一

6 心の師を求めていた高校時代 中学では勉強ができるようになりましたので、担任も受験時期には、いきおい有名進学校を勧めたのです。 ところが、その時に勘がはたらき、行きたくなかったのです。その明和高校は名古屋城に近く、歴史的にも良い場所にありま…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 一

5 身体を通して、その人の「感受性」を観ることで成長してきた ―「感受性を高度ならしむる」野口整体 病気など、体の問題の七十パーセントは心が原因している、というのが心の専門家の説です。西洋医学でも心あるお医者さんはそうだと思っています。「心の…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 一

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 に入る前に、巻頭にある、金井先生の生い立ちについての文章を紹介します。 整体指導という仕事をする人が、生い立ちに恵まれなかった場合、潜在意識における影響の深さに自覚がある人ほど負い目を感…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕―「整体を保つ」は「身をたもつ」5

野口整体は現代における「道」― 整体を保ち、自然健康を保持して全生する ここまで述べてきたように、本章で取り上げた『養生訓』の内容を通じて、明治になっての近代西洋医学が国家医学とされる以前、日本人はどのような心に生きることで「全生(生を全う)…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕 ―「整体を保つ」は「身をたもつ」2

「心に主たるものあるべし」という言葉は、岩波書店版の『養生訓・和俗童子訓』の見出しに使われていた言葉です。 三1に引用した「技術を使う心」(月刊全生)の中で、野口晴哉先生は心と体を使う主体としての自分について次のように述べています。 …自分の…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕―「整体を保つ」は「身をたもつ」4

健康に生きる心を育てる「養生」としての野口整体 師野口晴哉は伝統的な「養生」の考え方について、「潜在意識教育法講座(1975年1月)」で次のように述べています(『月刊全生』)。 健康に生きる心(六十四) …人間のお腹の中にいる大腸菌は栄養を分解して…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕 ―「整体を保つ」は「身をたもつ」3

今回は心身の持主である自分とは何か、が焦点です。 心身の持ち主である自分― 心で気の集散を自由に行う 負の感情(不安や怒り、憎しみや妬みなど)は鳩尾(みぞおち)の緊張(実)として身体に残るのですが、「型」によって腰ができていると、その緊張が弛み…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕 ―「整体を保つ」は「身をたもつ」1②

②「養生(生を養う)」から「衛生(生を衛(まも)る)」へと健康観が移って行った日本の近代化 野口法の概要(野口晴哉著作全集第一巻 昭和8年 68頁) …人体が物質化する理由は、体から心が離るゝためです。又心が一部分に滞つて感覚の伝導が公平に行はれぬた…