野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 三 6

感情が流れると意識(自我)と無意識(自己・魂)がつながる ― 感情表現を通じて他者に理解されることの意味 河合隼雄氏は「感情」とたましいとのつながりについて、次のように述べています(『ユングと心理療法』)。 個を超えて …近代になって人間の理知的…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 三 5

個人指導とコンプレックス― 活元運動と病症の経過 ―腰痛が「自我の主体性」を取り戻す 個人指導で〔身体〕を観察することは、生活している人間としての動きが、背骨に表れているのを観察することです。 このような身体性の観察(気で観る)を主とするのが野…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 三 4

今回から、金井先生の指導例を基に(次回紹介)、意識・感情・無意識がつながりを取り戻す意味について、ユング心理学の視点から述べていきます。 4 意識・感情・無意識をつなぐ身体感覚 私は、人間の全体を「意識・感情・無意識」と表現してきました。これ…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 三 3

心の流れを調えるために身体を整える― 心の流れが淀むようになっている現代 一般的にも、人は「あの人は快活だ」、また「暗い人だ」、などと見るものですが、これは、心のはたらきを相手の「気」に見ているのです。 気で〔身体〕を観察していますと、心のは…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 三 2

不快情動による「偏り疲労」と「コンプレックス」の共通点 ― 身体に読み解く潜在意識 二で述べたように、私は個人指導で、身体(背骨を中心に)を観察し、筋肉および脊椎骨の硬張りを通じ、本人が意識できなくなっている「潜在感情」を観察しています。それ…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 三 1

三 ユングの心的エネルギー論と野口整体の気による身心観 偏り疲労(体の歪み・硬張り)は、情動エネルギーによるものだとここまで述べてきました。しかし、実際に指導の中で、本人の中でもはっきりしない感情について踏み込むというのはそれほど簡単ではな…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 二 8② 

ここでは「今、ここ」にある自我と、過去と記憶の集積に捉われた自我の相違を踏まえながら読んでみてください。 自我の再構成を自然に促す心療整体 ②私のじねん流臨床心理の意味 師野口晴哉は、「《潜在意識教育》意識以前にある自分」(『月刊全生』1967年…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 二 8①

自我の再構成を自然(じねん)に促す心療整体 ① 自我の再構成 河合隼雄氏は「自我の再構成」について、次のように述べています(『母性社会日本の病理』日本人の自我構造)。 …青年期になると、自我は今まで自分の受けいれてきた規範を根底から疑ってみ、もう…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 二 7

自我とは ここで、自我とは何かを少し補足しておきたいと思います。 「私」という自己感覚・自己意識が「自我」というものですが、現代の多くの人は自我のはたらきとしての思考・感情・意志を、外界からの刺激に反応して生じる受動的なものとして捉えていま…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 二3 

自身の内と確かなつながりのある自我を育成(強化)する 「これが私(自分)」という意識を、心理学では自我と言います。 ユング派臨床心理学者の河合隼雄氏は、自我は「外界との交渉の主体」、そして「内界を認知する(自覚する)主体」であると定義してい…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 二2

心の生活を振り返る時間としての整体指導 ― 情動(陰性感情)の観察で得た「まぁんじゅう理論」 私は、整体指導を行うようになった初期には、相手の身体に比較的大きな変化(歪み・偏り疲労)を観察することから、やがて小さな変化までを捉える観察眼を発達…

(補)偏り疲労とは

体の歪みとストレス 個人指導の観察で焦点となる「偏り疲労」とは、簡単に言うと、体の歪みや硬張りのことです。体の使い方が偏った結果、体のある部分に力が入ってしまったまま、脱力できなくなっている(または力が抜けている)状態を言います。 これは潜…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 二1

二は、金井先生の個人指導をユング心理学の視点から考えるという内容で、偏り疲労の中に圧縮されている情動エネルギーから、心の問題として考えられがちなコンプレックスを観察すること、そしてそれにはどのような意味があるかが主題です。 特に自我と意識と…