野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第五章 野口整体と心身医学の共通点 三6

今回はIさんが「なぜ感情を内攻させるのが常態化するようになったのか?」が主題です。 今回、宗教的な教えが自動的に感情を抑圧する要因になった、という話が出てきますが、このような例は意外と多く、宗教もキリスト教系、仏教系、新興宗教、伝統宗教さま…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 三5

一般にストレスというと「○○が原因でストレスを感じる」と、外的要因とそれに対する反応、と考えるものです。これが科学的なストレスの考え方(ストレス理論)であり、そういう理解が一般的なのですが、それだけでは自分の問題というのが見えにくくなってし…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 三4 

生前、金井先生は、塾でIさんの指導から「精神的な腰」についての話をしたことがありました。 腰というと、一般に生理・解剖学的というか、肉体的な意味での腰というものしか知らなくて、それが痛いとか歪んだとか言っているだけのことが多い。 腰というのは…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 三3

第四章までに述べた情動と偏り疲労についての内容を少し復習しておきましょう。 野口整体で説く「要求を中心とした生活」を実現していくためには、体を整え、感覚を正常化する必要がありますが、そこで障害になるのが、意識できない情動の停滞です。 この情…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 三2

今回の焦点となる味覚は、生理学的に言うと「外界感覚(外受容感覚)」という外界を知覚する感覚(五感)のひとつです。食物の異化作用・同化作用と密接に関わり、体調によって鈍りが起きやすいことは、経験的に良く知られているかと思います。 この味覚を正…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 三1

三 情動に着目する心療整体― Iさんの指導例 今回から、金井流整体個人指導の心身医学的解説とも言うべき、指導例を用いた内容に入ります。 今回紹介するIさんは、金井先生の指導を受けていた人の中ではお世辞にも優等生とは言えない人!なのですが、先生か…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二8

「内界への適応」の大切さを説いた池見氏 ― 野口整体は「潜在生命力の喚起」による人間的な成長を目標とする 池見氏が目指した心身症の治療の第一は、4から表してきたこのような病状への理解と「心身相関」への気づきを促すことです。 池見氏は「新しい皮質…

よみうりカルチャー講座 はじめての野口整体 のお知らせ

7月28日(日)から、よみうりカルチャー八王子で身体感覚を高める修養(はじめての野口整体)の教室を始めます。前回告知の後、新型コロナウイルス予防の関係で、よみうりカルチャーが前項休校となってしまいましたが、再開しました。 この講座では、活元運…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二7

身体感覚と恒常性維持機能 野口整体では、整体であるため、身体感覚を高めることを専らとするのです。感情に対する自覚と身体感覚の敏感さは一つのことで、これは経験則からの確信です。 師野口晴哉が説いたことを一口で表すと「整体を保って全生する」こと…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二6

今回は野口整体で言う「鈍り」の問題である失体感症(アレキシソミア)についてです。 身体感覚と情動についてはこれまでも紹介してきましたが、池見氏提唱の「アレキシソミア」には、感情の言語表現に注目する欧米とはまた違う、東洋的な心の理解が表れてい…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二5

今回は、心身症になりやすい人の傾向とされている「アレキシサイミア」についてです。 池見氏が失感情症と訳して紹介したアレキシサイミアは、感情がないのではなく、「感情として表現することができない」という意味をはっきりさせるため、現在は「失感情言…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二4①

心身症と陰性感情― セリエのストレス学説 野口晴哉先生は、セリエのストレス理論を「上下型2種の病理をほぼ完全に説明している」と述べています。しかし、「こうも頭で生きる人が増えてしまった」(野口晴哉)現代においては、このストレス理論はより普遍的…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二3

今、新型コロナウイルス感染症の問題で、免疫力を高める食べ物などに関心が集まっています。 「ストレスや心配事は免疫機能を低下させる」と一般にもよく言われることですが、これを科学的に研究することは脳科学と免疫学を統合する必要があり、非常に難しい…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二2②

前回の続きで、心身医学がぶつかった壁についての内容です。 現在、心身医学の世界では一人の医師が体と心の両面から、一人の人間をまるごと診るというやり方ではなく、各専門医と心理療法の専門家がチームで行うという方法が取られている様です。 池見氏も…