金井先生の個人指導2
情動の停滞と無意識
精神科医のフロイトは無意識を意識が排除した記憶の倉庫のようにとらえました。しかし同時代の精神科医で弟子でもあったユングは心をエネルギーとして捉え、心の深層にある源泉・無意識からこんこんと湧き出し、流れているのが心の健康な状態であると観て、それがせき止められたり、滞留したり、逆流(退行)したりすることが心と体の健康と発達を損なうのだ捉えたのです(心的エネルギー論。これについてはコンプレックスと合わせ後に詳述)。
金井先生の心の捉え方はこれと同様であり、現代の心身医学とも通じる観方です。
情動が流れなくなると無意識からのエネルギー・気も流れなくなり、身体的にも停滞し、疲労感が強くなります。
情動は日々、誰しも経験するものではありますが、それが滞り交感神経系の興奮がそのまま残っていると身心が休まらなくなり、抵抗力・適応力も落ち、未来を空想する心のはたらきも失われてしまうのです。
気づかぬうちに、身心を情動に支配されている状態を脱し、再適応に向けて経過していくことは、健康保持と生きる力を発揮する上で必要なことです。
そして、偏り疲労の習性には、「体癖」という生まれつきの型もありますが、その人の成育歴も大きく関わっているものです。そうしたことについて対話が及ぶこともあります。
こうして、最近起こった体の変動と情動とのつながりを通して、自分はどういう人間なのかを理解し、自分との対話を進めていく手伝いをするのが、個人指導というものです。