野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

自分のことから始まる金井流潜在意識教育 1

潜在意識教育とは

 野口整体の潜在意識教育は、「健康に生きる心」を育てることを目標としています。

 教育目標というと「社会に有益な人材を育てる」などと言われることが多いのですが、野口晴哉先生の考えたことは、「人間の体が健康であり、元気である為には、心をどういうように使って行ったら良いか、どういう心の使い方が人間の健康と関連し、丈夫になるのかという問題」でした。

 社会のためではなく、個々の「人間」を中心に据え、「どんなに世の中に良いことであっても、その人の体を壊すようなことであったなら、又そういう風に育てられた為に、その人が健康でなくなるようであったならば、それは間違っている」と考えたのです(野口晴哉「潜在意識教育の目標」月刊全生より)。

 また、野口先生は「潜在意識教育は子供にほどこす教育だけではなくて、すべての年令の人を通して必要なことであります。」と述べていますが、これまで「育児・教育」という場面で捉えられることが多かったように思います。

 野口先生は、健康に生きる上で成長過程において形成されていく潜在意識がどれほど重要かということを痛感し、受胎から人間形成を考え、数世代をかけて人間を改善することを考えるようになったことによるものと思いますが、自分について考え、自分と対話し、自分を育てる(自己智)という側面があまり伝わっていないような気もします。

 また、当然のことながら私たちは野口先生ではありません。野口先生の述べていることがいかに素晴らしいものであっても、野口先生と同じことを言ったり、やったりしても、相手に(自分自身にも)働きかける力とはならないことがほとんどだと思います。

 潜在意識の世界はいかにして啓かれるか。それは、今の自分が全力発揮して生きられないのはなぜなのか、と自分について考えることから始まるというのが金井先生の教えでした。この点に対する金井先生の取り組みと指導について述べてみたいと思います。