野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

補足 大人の天心

(補足)

野口先生は「大人の天心」について次のように述べています(『月刊全生』)。

大人の天心

 人間は智恵があれば智恵を鍛えて、万全に逞しく生ききり得れば、それが自然です。私が無心とか天心とか言っていますが、赤ちゃんにそんなものは求めないのです。赤ちゃんは天心以外の何物でもないから、赤ちゃんには俗心を持つべく教えております。大人には天心を持てといいます。

 大人が天心になるのは大変なことです。それがもし赤ちゃんと同じ天心になったとしたならば、大人は俗心を超えてきたのですから、鍛錬されぬいた天心です。だから赤ちゃんの天心には自然を観ないが、大人の天心には私は自然を観るのです。自然というものに私は、そういう鍛錬しぬいた一点というか、何かそういうものを観ているのです。

 だから大人が無心になれば、根性の悪い人が天心になれば、それは見事なものです。赤ちゃんが天心になるのは少しも見事ではない。赤ちゃんは天心以外にならないのですから。養生でも自然に鍛えられて強くなって、何もしないで丈夫ならばそれが一番よいのです。病気になったら、病気に鍛えられて丈夫になっていけばよいのです。

…人間の体で一番健康状態に関連があるのは体の弾力であります。つまり体や心に弾力を持っていないと体の自然の状態といえないのです。硬張って、歳をとって死ぬのも当然だけれども、生きていくという面からいうと、硬張っていくのは正常ではないのです。それで体の弾力を、或いは心の弾力というものをどのような状態でも持ち続けるということに於いて鍛錬という問題が出てくるのです。

 大人になって天心を保つのは鍛錬が要る。いろいろな問題があって、自然の気持ちを保てないような状態のときにでも尚保ち続けるというのはやはり鍛錬です。