野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

左右型3種・4種②―体癖論Ⅱ 13

 左右型3種・4種各論

 体癖論を学ぶ上では、「自分のものの見方は一面的である」ということを発見することが大切です。自分と共通していないと反感を感じる、という人が多いのですが、それを超えて、自分を理解し、自分と他者との違いを理解することを学びましょう。今回は左右型3種・4種それぞれの特徴です。

 

左右型3種 

 感情が興奮しやすく、すぐ水落が緊張し、不安になってイライラする。これは自律神経の過敏反応がその特徴で、3種はとくに交感神経反応(感情の起こり→胃の拡張→食べる)が強い。

 手や体に丸みがあり、やわらかそう。丸顔で、ぽちゃっとして、曲線的である。空腹になると苛々し、食べると治まることが甚だしい。

 重心側の顔は縮んでいて、目でも口でも小さい方に力が入る。背中に丸みがあり、うつ伏せにするとそれがはっきりとわかる。上腹部が発達していて、お腹が丸い。

 食べるのが大好きで、生涯の内で食欲がないということは数えるほどしかない。体調が悪くても、おいしいものを食べれば元気になると思っていて、人にも食べさせようとする。

 胃袋が丈夫で、食べ物では中毒しにくい。感情的な鬱散としてストレス食いをする。料理が好きで、贈り物は、自分で料理をする余地のある食材や調味料を喜ぶ。「さて何を作りましょうか」という、その空想が楽しい。しかし片付けは嫌いで、台所も冷蔵庫もきれいではない。

 ともかく食べることが好き、猫などを可愛がる(少女趣味的に)こと、おくめんもなくそれを表現し、可愛がる対象を独占しようとする。3種は誰にも好かれたい、嫌われたくないという感情から、ときに「押し付け親切」があり、人に物をめぐんで気持がよくなる。面白さやおかしさ、賑やかさ、楽しさを好み、いわゆる女らしさがあるのが三種の女性の特徴である。3種男性は「清濁合わせ呑む」ところがある。

 3種は良い悪いの判断をせず、好きだと思えば同化してしまうことが多い。自分のものだと思えば清濁併せ飲む。この同化力の強さは胃袋の強さと共通している。話が思いつきや気分で飛びやすく、気分屋でおしゃべり(口唇運動型)。身びいき、血縁意識が強い。

 理屈には弱く、自分で考えることはできないので、「どうしたらいいの」とすぐに言い、権威ある人の話などを鵜呑みにしやすい。言うことやることが模倣的で人まねをする。そのため、本人に責任が及ぶことなく、人が企画したことであればすぐ神輿に乗る。

 感情が豊かで自分の空想の中に住んではいる。しかし自分のこと以外の空想(他人の感情や要求、嗜好など)は貧しく、人のことは分からない。

 視野が狭く、判断力が弱いので「○○さんはこうなのに、なぜあなたはこうなの」と比較して叱言を言う。それは、子どもが捻れ型の場合、後々まで影響するほど傷つけてしまうことがある。

  責任を他人の行動に結びつけ、「あいつがあんな時に口出しするからこうなってしまった(外向き)」などと怒ったりする(人のせいにする自己保存+感情鬱散)。

 3種の感情鬱散は傍が迷惑するが、体は非常に丈夫で再生能力も強いので、本人がイライラすることで体を毀すことは無い。しかし凝固する場合(4種的体癖現象になっている場合)は、それが基で体を毀す(=内攻)ことがある(喘息や自家中毒など)。

 

左右型4種

 4種の人はイライラを自分に結びつけて、「自分は気が散りやすい、何か不安だ(内向き)」と思う(感情凝固型)。副交感神経反応(感情の起こり→胃の収縮→食べられない)が強い。

 ちょっとしたことで食欲がなくなり、食べることが苦手で、味もよく分からないので、おいしいという定評のあるものを食べる。

 感情が凝固しやすい。凝固が溶けて少し発散に向かおうとする時、人の親切の中に悪意をかぎつけたり、皆がニコニコ笑って話をしているのを何か自分のことを嘲笑っているかのように感じられるようになる。そして、裡で凝固した感情を爆発させるために都合の良いような方向に自ら動いていく。

 3種はイライラが外に出るが、4種は内に籠る。感情が表情には出す、よく分からない印象だが、悪い感情は表に出ないまま残っていて食欲がなくなる。 

 4種は感情を抑えるような感情の使い方が巧みで、何も感情のない如く、好き嫌いのない如く誰にでも穏やかに接触しながら心の中は不平不満、不安の連続である。

 感情の動きは強く、また起こりも早い。小さなことで絶えず悔しかったり、悲しかったり癪に触ったりするので、心の中はいつも不快な小波が立っている。怒ったと自分で思っても、すぐ忘れ、意識の上では持続性がない。だが体の中には残っている。体の動き全体が硬い。

 一人でいると不安になり、誰かが傍にいることが必要で、頼りになる人がいないと神様を過剰に信仰してしまう。

 表向きは穏やかだが、内面では、自分(意識)と同化していない感情の塊が残っていて、それが体を悪くする。感情の掃除、同化力(自分の感情として実感すること、表現すること)が弱いので、鬱散することに心がける必要がある。

(体癖修正として)

 自分の感情を書いたり、からだ言葉的に表現したりと、感情を言葉で表現する練習をするとよい。好きより嫌いに敏感なので、「嫌い」を自分の中ではっきりさせることから始めて「好き」を広げること、味覚を発達させ、味わいの幅を広げることなど、身体感覚と感情を育てて心の中を明瞭にしていく必要がある(これは体癖に関わらず感情が分かりにくい人すべてに共通して言えるが、4種は健康に直結する度合いが高い)。