前後型5種・6種①―体癖論Ⅱ 14
前後型5種・6種に共通した特徴
今回は前後型5種・6種です。前後型の場合、体癖素質として前後型がある人と、適応のためそうなっている人がいるのが現代の特徴です。
時代的傾向として、前後型化することが社会的適応に有利に働く状況があるので、体癖素質を観る場合(自分も他人も)、「自然・不自然」という視点を持たないと見誤る場合があります。
前回の左右型は、無理な感情抑制をする生活によって、前後型的体型になることがあります。これは心と体の自然を犠牲にして無理な適応をしている、という姿なのです。
前後型5種・6種 腰椎5番・前後運動・呼吸器
前後型は肩が発達していて、前屈み傾向(ロダンの「考える人」の体勢)が強い人のことをいう。動作の中心が肩・上肢にあり、上肢で体全体の動作をしている「上肢行動型」。体の重心が上にあり、立ち上がる時も上肢で動作し、歩く時も上肢がよく動く前後型と上下型はともに重心が高い。
五種の体つきは肩が発達していて逆三角形で、上肢と下肢が長い。上肢は肘から先が長く、下肢は膝から下が長い。胴は短く、お腹が小さいスマートな活動型。5種は緊張するとお腹が収縮する(三種は緊張してもお腹は大きい)。
5種は胸が厚く、首が太い。6種は胸が薄く、首が細く、上腕が細い。
前後型は、体の構成が直線的(上下型も直線的)。女性は一般に曲線的な体が多いが、前後型の女性は直線傾向が強い。首が前に付いているのが最大の特色であり、そのため肩が上がり、肩の動作が多くなる(この点、動作が猿に似ている。上下型の首も少し前に出ているが、前後型の首は完全に前へ出ている。例・アントニオ猪木)。
首が前についているために、人と向かい合って話をしている時、下から見上げるようにするので半白眼になる。
「呼吸器」の働きに特徴があり、身体運動の中心は「腰椎五番」にある。「呼吸器」の働きは体の「前後運動」と関係が深い(くしゃみや咳をする時は完全な前後運動である)。呼吸器が丈夫だと、割りきったり現状に即した「行動」を取ることができる。呼吸器が弱いと理想を追い現実的な判断力がない。
五種・六種ともに腰が硬い。 顔の特徴は顎が発達し突き出ていて、下顎 のラインがシャープ。顎の発達は、その行為が意志的であることを意味する。
腰は細い(開閉や捻れと比較して)が、しっかりしている。
前後型は自分の不安と絶えず戦っており、肩に力が入ってくると五種が体の筋肉を積極的に動かし、外向的に動くのに対して、六種は内向的・抑制的になり、動かなくなる。5種は重心が上(肩)に行くことで行動するが、六種は重心が上にあっても行動せずにじっと辛抱している(五種・六種を体型からだけ判断しようとするのは難しい)。
前後型の特徴として「自分の感情が分からない」(感情を抑えることが習慣化している)ということがあるが、自分ではそれが意識できない。5種は感情を自覚しても利害得失に即して抑制し冷静を保っているが、6種は感情が内攻し陰気になる。
しかし、感情は抑制しても中では治まらないものなので、つい格好よく人に気前の良さを見せてしまったりすると、自分の中で「嫌だった、ああすればよかった、損したという思いが後々まで残っている。このように自分の感情の中で独り相撲をしている場合が五種六種には非常に多い。そのため前後型の指導を進めるうえで「感情分析」ということが重要な問題になる。