野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

コラム 骨盤の前後運動の可動性を高める

骨盤の前後運動の重要性

 これまで、運動系の問題を自律神経が支配する領域と関連付けた観方というのは、学問的にはあまりされてきませんでした。

 しかし近年、ヒラメ筋というふくらはぎの内部にあって重力を受け止めている筋肉が緊張すると、感覚神経とともに交感神経も活性化し、その刺激が腰椎5番に作用して血管に免疫細胞が入るゲートができ、中枢神経に入り込む…という、ちょっと難しいのですが、自己免疫疾患の発症につながる研究(大阪大学)がなされるなど、野口整体的な観方との共通性のある知見が得られるようになってきています。

 さまざまな自己免疫疾患(がんもその一種で、かんたんに言うと自分の免疫系が自分の体の組織を攻撃したり、寛容すべきものに過剰反応したりする疾患)はストレスとの関係がよく知られています。ヒラメ筋が緊張する体勢を想像すると、重心がかかとのほうにかかり、骨盤の位置が下がっている状態ということができます。骨盤の動きも失われていることでしょう。

 こういう主体性や意欲、行動力が影を潜めている状態では、どのような心理にあるのか?に焦点を当てるのが個人指導であり、心身医学の視点と重なる部分です。 

 野口晴哉著『整体入門』と『整体法の基礎』には、整体体操のやり方が掲載されており、その中に、第5種体操の準備運動というものがあります。これが骨盤の前後運動の可動性を良くするのに効果があり、呼吸を深くする効果もあるので、お勧めしたいと思います。

 このブログを読んでいる人の中には、普段から整体を実践している人、実践はしていない人、いろいろな人がいるかと思いますが、この準備運動はどなたでも行えるので、やってみてください。

 ただ、継続が必要であることは言うまでもありません。

※この運動の後行う整体体操(第5種体操)は適う人と適わない人がいます。

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『整体法の基礎』より転載
やり方

(1)…まず仰臥(あおむけに)、両足を屈して手でかかえ、胸に押しつけるようにして、ポッと力を抜くこと2、3回。(『整体法の基礎』)

★腰椎の下部が床から浮かないようにする。足がだらりとしないように注意。(青い丸部分)

文責 近藤佐和子