野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

年頭所感  野口晴哉(1967年)

年頭所感

 人はその精力を集中することによって、平素出来ないことをやりとげることがしばしばある。事をおこし、事を運び、この世に新しいものが生まれるということの背後には、人の精力集注があることは見逃せない。

しかも人は精力を集中して事を為すということに快感を感ずる。疲れるとか、損得を口 にする前に、深い満足感がある。

 精神集中の密度が足りなかった人は、疲れたり、悔いたり、いたわられることを求めたりするが、その全力を集中した人には、欣びと満足がある。

 だから上野の山の石段は疲れるが、穂高の頂上をきわめた時には快感がある。その全力集注を妨げるような、心や体の状態の人や、いろいろの事情で全力発揮の出来なかった人は、疲れ、悔い、又悩む

 健康ということは、薬をのんだり摂生したりすることだけで得られるものでは無い。その為すことに全力を発揮し、どんなことにも疲れを惜しまず、悔いないでふり返っていつも満足できるように生くることに、健康ということがある。

 このこと、年頭に自分の心にしっかり教えていこう。

晴哉

 明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 金井先生が入門した、昭和42年(1967)1月に月刊全生に掲載された、野口先生の年頭所感です。傍線を引いてある所は、金井先生が傍線を引いた箇所と同じです。(近藤佐和子)