新型コロナウイルスの重要な戦術は、先天性免疫(自然免疫)の回避だと考えられており、重症例はこのような場合が多いと言われています。
薬物や生活習慣などによって私たちの免疫系が正常性を失い、十全に働かなくなってきているのを狙って、進化・適応してきたのかもしれない…と私はひそかに思っています。
このウイルスは自然の土壌では長生きできず、人工的なプラスティックなどの上では数日間生きているのだそうで、人工的世界と現代人の体に最適化していこうとしているようなのです。
宮坂昌之教授(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)は、免疫と感染症について次のように述べています。
宮坂 自然免疫の仕組みでは、細胞がウイルスに感染すると最初に「Ⅰ型インターフェロン」という抗ウイルス活性を持つ物質が作られます。
…私たちが風邪をひくと、くしゃみやせき、鼻水が出たり、発熱といった症状が出ますよね。
あれも実は細菌やウイルスの増殖を防ぎ、体外に排出する自然免疫の働きのひとつで、ウイルスが侵入した際にはⅠ型インターフェロンがこうした(ウイルス防御に必要な)反応を引き起こす、一種の「アラーム」のような役割を果たしているのです。
…ところが新型コロナは、Ⅰ型インターフェロンを作る機能を抑えてしまいます。
…(Ⅰ型インターフェロン以外にも)体には同様の物質がほかに何種類もあり、Ⅰ型インターフェロンの働きが抑えられても、それを補うシステムがあります。自然免疫がうまく働いている子供や若い健康な人はその仕組みが強く、重症化が起こりにくいと考えられるのです。
自然免疫
免疫は2段構えで、最初は城門で待っている兵隊のような役割の自然免疫が働き、とにかく敵をやっつける。病原体が自然免疫を突破すると、獲得免疫というリンパ球が働く免疫が起きる。
これは以前侵入してきた病原体を覚えていて、再びその病原体に出会うと、抗体(病原体を排除するための物質)を作り、病原体を追い払おうとする。相手に応じて、より強力な武器で戦うイメージ。
免疫の強さとは、自然免疫と獲得免疫の両方を合わせたものを指し、病原体の強さとは、体内に侵入してきた病原体の量と、感染力の強さを合わせたものを指す。病原体の強さが、免疫の強さを上回ると感染症が起こる。