野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

付録 「心を考える」は流行でしかない 7

7 野口整体は気の世界「沈思黙考」の大切さ

「黙る」ということが、師野口晴哉のモットーの一つでした。お喋りで食いしん坊で、整理ができないという人には、特に「黙る」ことを教えていらっしゃいました。まず、これができないと、野口整体の学びは進みません。

 野生動物が、じっとものを見ているような集中力を持って、本能的な目でものを観る。自分を感じるにも、人を感じるにも、物事を深く考えるにも、まず、「自分の心を鎮めるため黙す」、すると感じるはたらきが高まるのです。これが野口整体における基本だということを私は学んだのです。

「心を鎮めて、亢(たか)める」ことで「気を感じる」ことができるのです。野口整体で重要なものが「気」ですが、これを言葉で説明するのは難しいですね。

 師は「気は気で感じるものだ」とおっしゃっていました。さらに「気は心と体をつなぐもの」であって、呼吸によって散じたり集めたりすることができると。

 心が乱れたり、何かに囚われているときは、呼吸が浅くなります。しかし、深い呼吸ができるときは落ち着いた感じがします。そのとき、「密度ある気」が生まれるのです。

 正坐や「気」は、全ての伝統的な日本文化に共通しているのです。

晴風抄」

感ずることを豊かにする為には、その頭のなかをいつも空にし、静かを保たなければならない。頭を熱くしていては感ずるということはない。

自分の顔を考えていても、利害を思っていても、毀誉(きよ)を想っていても、感ずるということはなくなってしまう。