野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

禅文化としての野口整体Ⅰ 活元運動 第二章 四6 Q6・Q7

Q6 毎日やった方がよいのでしょうか?また、いつやるといいのでしょうか?

 体の要求として「やりたい時に行う」ということが大事なことですが、初心者は始めから、このような要求が分かるわけではありませんので、一定期間、毎日のように取り組んでみるのが良いと思います。

 一日の内でいつやるかについては、体の硬張りが弛むようにするのが活元運動ですから、寝る前にやるのが一番効果的だと思います。弛むことで熟睡しやすくなるため、私もなるべく毎日行っています。「天心にかえって眠る(本章二 6)」ため、活元運動を活用しましょう。

Q7 意識(顕在意識)や潜在意識、無意識について教えて下さい。

 心のはたらきについて、生理心理学的に心身相関を調べるために、「…意識」ということばが使われます。

 普通、知覚できる意識の作用としては、感覚と思考と感情があげられます。これらは顕在意識(また表層意識)と呼ばれます。

 これに対し、普段の意識には容易にのぼってこない意識があり、精神分析などの方法によって意識化できるものを潜在意識(また深層意識)と言います。

 十分に自覚できない情動が蓄積(感情が陰性的に、かつ瞬間的にはたらき潜在意識化)したものはコンプレックスと呼ばれます(コンプレックスは潜在意識。無意識として扱われることもある)。

 知覚できない意識としては、この他に生命維持作用があり、心臓の鼓動や食物の消化、発汗作用、ホルモンを分泌する内分泌系のはたらきなどは、すべて意識されないうちになされます(自律系・不随意運動)。これを無意識と言います。

このように、人の意識を三つの層に分けて理解するのです。

 活元運動は無意識の運動と言われますが、意識がない状態で行おうというのではありません。意識がありながら心が鎮まっている(瞑想)状態で、潜在意識・無意識が優位になることから「錘体外路系」のはたらきが活発となり、活元運動が発動するのです。

(意識・潜在意識・無意識という言葉の使い方は厳密ではなく、区分の仕方は個人差がある)

 しっかりと鎮まった意識の下に「無意識」の運動(訓練としての活元運動)が行われるのが良く、この時、意識と無意識のつながりが確かなものとなり、運動が発展的なものとなるのです。そして、「意識を以って行うからこそ、無意識を訓練することができる」のです。

意識を閉じて無心に聞く

野口晴哉