野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

(補)前後型5種・6種 自由へのあこがれ

自由へのあこがれ

 野口晴哉先生は、前後型五種体癖は現代文明の「生存適者」であると述べました。合理性に優れ、変化と発展性を求め、「自分の意志で行動する」自由を求める要求に敏感なのが、この体癖です。これに対し、六種体癖は自分が行動するよりも、周囲に訴え、現在の環境を変えることで精神的な自由を実現しようとします。

 前後型五種は新しく意欲が生じた時、同時に整理整頓をしたくなるもので、このことで本当に「心機一転」という気持ちが確固となるのです。五種は本来、自分の意志が即行動になるのが特徴です。

 前後型は先の展望が見えずに「こうすれば、こう解決できる」という算段がつかなくなると、疲れ果ててしまいます。

 五種は自分の理想実現のために、自由に体を動かし行動できることが、何より重要な点で、五種が家に引きこもってしまうという時は、見通しがつかず、意志が行動につながらないという六種的な体の状態にあります。

 消極的になった五種は、「無気力に座り込んでしまう」という、五種と六種はまったく表裏のものです(前後型+左右傾向がある時、整理がつかずぐちゃぐちゃである場合がある。不快な中に不快なままいて、やる気が起きない)。

 健康な五種であれば、疲れた時でも、いつまでも朝寝をしていると却って疲れが抜けず、ほどほどに起きてどこかへ出かけることで、気分転換ができ、疲労回復するものです。

「動きながら考えることができる」五種は、行動し随意筋と呼吸器を使うことで、統制のとれた頭のはたらきとなります。ここに五種にとって、「動ける体であること」の重要性があるのです。

 また、不調を「呼吸器」に感ずるのが前後型で、情動の痞えを呼吸器で「息苦しい」などと感受するのは、呼吸器体癖である前後型の特徴的な身体感覚です。このような場合、六種は頭の統制が利かず、没我的な行動に走ることがあります。

 前後型体癖は、感情を合理で割り切ったり、抑えて行動できるという特徴がありますが、師は前後型の子どもの教育において、「理想を持たせる」と同時に「情緒を育てる」ことを重要な点として挙げました。良否、善悪とは何かを身体感覚とともに教える重要性を感じます。

 指導を受けている5種のある男性は、「段取り」に敏感で得意なのですが、自分の周りにいる人たちの段取りの悪さに目くじらを立てていることが多くありました。しかし、仕事外の方面で自分の段取りの悪さに本当に気づくことがきっかけで、人に要求する受け身な状態(六種的)から、自らそうなっていこうという積極的な気持に変わっていきました(体が整うことで、やる気と集中力が出てきた)。

 

★金井蒼天先生の未完原稿。近藤による編集