野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」三1

地に足が着く・浮足立つ ある個人指導で、終わりの正坐で腰が入ったことを確認し、立姿になってもらい「どのように感じますか」と尋ねますと、「足の裏がピタッとし、しっかり立てている感じです」と、この人は答えました。 この時「これが、地に足が着くと…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」三

からだ言葉で「気の体」再発見!― 気は心と体をつなぐもの 西洋医学では、医学生は死体解剖をするところから勉強を始めます。しかし、死んだ人の体は動きません。生きている人を観察するからこそ表情が読め、「今日は元気そうだ」、また「元気がない」など、…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」二5

理性で捉える肉体と、感性で捉える身体 ― なぜ、心身二元論・身心一元論について学ぶのか 現代では、近代西洋医学の解剖学を基礎とした生理学を小学校で習うことで、そのような解剖的身体観(=肉体観)が意識に入っています。こういう教育がなかった時代は…

(補)自己教育としての潜在意識教育と「対話の要求」

今回は管理人、近藤佐和子が潜在意識教育と対話の要求についてまとめた文章を補足として入れることにしました。 自分との対話と潜在意識教育 潜在意識教育の出発点は、「全力発揮できない」「一つことに集中できない」「意志が行動にならない」「人との関係…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」二4

身体に表情を読む「パターン認識」能力― パターン認識により潜在意識を受け取る これまで述べてきたように、私の個人指導の中でのからだ言葉とは、体に現れている「表情」を私が形容し(形を通して、その心を言葉や例えを使って言い表す)、その上で相手に事…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」二 3

身体を気で観ることで、潜在意識を整える 「へそを曲げる」というのは「機嫌をそこねて意固地になる」という意味ですが、「その心」が本当にへその状態に表れるのです。 「首が回らない」は、「借金で首が回らない」とよく使われます。私が観てきたところで…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」二2 

からだ言葉と野口整体の身体の観方― 身体感覚(身体意識)から生まれたからだ言葉 私は、「体の表情(変化している様子)」を観察し、その人がある感情を体験したことで、その心情が言葉通りの身体の形となって表れていることを、多くの臨床例によって確かめ…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」二 1

二 体が訴えている心(潜在意識)を「からだ言葉」で表現する 今回から二の「からだ言葉」と整体の観察についての内容に入ります。 整体の観察では「何を観察するか」が一番焦点になるのですが、ここでは、物質的にそこにある「体」を見るのではなく、そこに…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 11

進み得る方向において観る 師野口晴哉が亡くなった時、私は28歳でしたが、熱海に24歳で来て、師が亡くなるまでの間はがんがん仕事をしていました。 師の「荒削りだが、いい」という言葉も間接的に頂いて励んでいました。 ご自身亡き後、私の性質からして協会…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 10

理解されているという安心感を与える人 見田宗介氏(註)は、潜在意識間の交流について、朝日新聞の連載「私の野口晴哉②」(2004年㋃9日)で次のように述べています。 椎骨百万 「包括的な合理性」の方へ …イスラエル人の母親が逆子に困って訪れた時、野口は…

巻頭 潜在意識は体にある!― 自分のことから始まった野口整体の道 9

第一章の途中ですが、巻頭「潜在意識は体にある!」の中から、潜在意識についての内容を差し込みます。 師野口晴哉は「気」の達人― 潜在意識を対象とする師の心理療法 それで、翌年春の一九六七(昭和四十二)年四月二日、師野口晴哉に入門したのです。それ…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」一 4

今回は一の最後で、野口整体の身体観を学ぶ意味についての内容に入ります。 野口整体の身体観というのは、野口先生が「骨格筋の生理と心理」とも表現しているように、運動系を中心とした観察をする見方のことを言います。筋肉や骨を客観的に観察するというの…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」一3③

野口整体の真骨頂 身体に観察できる「情動の持続」 ③個人の感受性によって異なる情動反応 ところが多くの場合、本人には、いつ、どのような場面で強い陰性感情が発生したのか分からないという点が、これ(情動の持続)に対する理解を容易ならざるものとして…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」一3②

野口整体の真骨頂 身体に観察できる「情動の持続」 ②身体に観察する「情動の持続」 情動(emotion)は「快情動」と「不快情動」に大別されますが、個人指導では、健全性を損なう隠れた原因という点で、「不快情動」が対象となります。 情動は、動物(犬や猫…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」一3①

野口整体の真骨頂 身体に観察できる「情動の持続」 ①情動を感情として意識化(分化)する心療整体 情動を自身で制御する ―― 不快を自身で切りかえることで落ち着きを取り戻す ―― 前提となる情動知覚(情動を認識する)(註2)において、重要なのが身体感覚…

第一章 野口整体の身心の観方と「からだ言葉」一2

今回の内容は、整体指導の観察についてです。 潜在意識と言うと、乳幼児期から思春期あたりまでに形成された、比較的遠い過去のトラウマを連想する人も多いのですが、ごく最近起きた情動体験も潜在意識となって心と体を支配します。でも、時間経過の長短、ま…