野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

心療整体ー金井流個人指導

気で観る〔身体〕―日本人の宗教性

野口整体 金井流で観察する身体は「気の身体」であり、東洋宗教に通ずる普遍性がある。

情動と脳・情動と身体ー心身医学と金井流個人指導3

前回、私は事態が思わしくないと、不安または恐怖にかられて「どうしたらいいのか」と思い詰めてしまう癖があり、金井先生が「まず考えるのをやめて体を弛め、姿勢を整えて心を落ち着けること」を教えてくれたことについて書きました。 金井先生は野口晴哉先…

身体感覚の発達と瞑想法―心身医学と金井流個人指導2

身体感覚と心の成熟 心身医学と深層心理学は、意識と無意識、心と体、意識運動(主に骨格筋の随意運動)と無意識運動(内臓を司る自律神経系の働きや錐体外路性運動系)の間にあって、両者をつなぐ働きとして「情動」に注目してきました。また東洋では、情動…

身体感覚の発達と瞑想的な意識―心身医学と金井流個人指導1

身体感覚が鈍ると感情が分からない 心身医学では、心身症患者に共通した素質を意味するアレキシサイミアという言葉があります。心身医学者の池見酉次郎医師は、これを「失感情症」と訳し、日本に紹介しました。 これはどういうことかというと、感情(情動)…

自然健康保持と情動のコントロール―情動に着目する金井流個人指導2

心と健康「健康生活の原理」 心の状態と健康には密接なつながりがある、ということは、江戸時代の「気」の医学(気の世界観を基とした医学)の時代にはよく知られたことでした。 ではこの「気」というもののはたらきをどのようなものとして捉えていたのかと…

心身医学とは―情動に着目する金井流個人指導1

Ⅰ 問題は、体ではなく心である。 人を責め、追及し、他人の過ちのために自分の労力を消費するが如きことをなさず、自分を楽しくし他人を快くすることの空想を、いつも心の中に拡げて生きることが養生というものである。 意志は、体に対して脈一つ多くするこ…

人間の自然を保つとは―ユング心理学と金井流個人指導6

人間の自然を保つとは 人間の中心を頭から肚へ、という整体指導の根本原理と、ユングの自我から自己への中心の移動は、金井先生の見出した野口整体との大きな共通点でした。 東洋の気の思想では、すべては「気」のはたらきによって誕生し、気の力を受けて成…

自我から自己への中心の移動―ユング心理学と金井流個人指導5

自我から自己への中心の移動 河合隼雄氏はユングの「自我から自己への中心の移動」について次のように述べています(『心理療法序説』)。 3 自我と自己 ……西洋の近代においては「自我」の確立が大きいテーマになった。・・・このような考えの背後には、人間が…

近代化と重心位置の変化―ユング心理学と金井流個人指導4

人間の中心が頭となって、重心が上がった近代 以前、金井先生は、野口先生から昭和四十年代に聞いたこととして「昔は「体の重心が定まらない」と言って指導を受けに来た人が大勢いたが、今はなく、体の状況を感覚する働きが鈍くなっている」という話をしてく…

潜在意識の世界を啓くために必要なこと―ユング心理学と金井流個人指導3

潜在意識の世界を啓くために必要なこと 野口晴哉先生は「自分との対話」について、潜在意識教育法講座で次のように語っています(月刊全生)。 …私も子供の頃は弱い方で、よく病気をしました。しかし病気になるのは卑怯だ、仮病はやめようと思いました。病気…

追記―ユング心理学と金井流個人指導2

追記 金井先生の著書を商業出版するチャンスは二度あったのですが、二度とも「引用の長さ」が問題になり、交渉はまとまりませんでした。このブログでも長い引用が増えてきています。 最初の出版社との交渉の際、私は引用を短くすること、要約して減らすこと…

コンプレックスと偏り疲労―ユング心理学と金井流個人指導3

コンプレックスとは何か・・・偏り疲労との関連 しばらく説明的な内容が多くなりますが、最初に野口整体における感情と体の見方について野口先生の講義内容を紹介します(『月刊全生』)。 ・・・(抑圧だけではなく)実際は一寸我慢した感情、或いは出しはぐれた…

自分で自分を研究する―ユング心理学と金井流個人指導2

自分で自分の研究をするユング心理学と野口整体、自分とは関係ない科学 金井先生は「思想とは、哲学の世界で『考えることによって得られた、体系的にまとまっている意識の内容』を言い、『その人の生き方、社会的行動などに一貫して流れている、基本的な物の…

ユング心理学とは―ユング心理学と野口整体金井流1

ユング心理学とは ユング心理学は、スイスの精神医学者C・G・ユングの創始した心理学で、正式には「分析心理学」と言います(古くはコンプレックス心理学と言われた)。日本では故・河合隼雄氏(ユング派心理療法家)の著書によって一般に知られるようにな…

心に常に主あるべし―立川昭二氏に『江戸時代の気の医学』を学ぶ4

心につねに主あるべし 立川氏の著書の中にはないのですが、金井先生は『養生訓』(『養生訓・和俗童子訓』岩波書店 一九六一年)原文の「養生に志あらん人は、心につねに主あるべし」という一文を読んで、「これだ!」と言っていました。それは次のようなも…

気は心と体をつなぐもの―立川昭二氏に『江戸時代の気の医学』を学ぶ3

気は心と体をつなぐもの 貝原益軒の『養生訓』には、「食べ合わせ」などの記述もありますが、立川氏は江戸時代の「気」を中心にした身体観、病症観、健康観を『養生訓』を通じて学ぶことができると説いています。 そして、この「気」の捉え方には日本人の心…

気による体力発揮と養生―立川昭二氏に『江戸時代の気の医学』を学ぶ2

気による体力発揮と養生 今、「養生」というと、体の弱った人や老人が栄養や睡眠を十分にとったりすることを思う人が多いかもしれません。しかし、江戸時代における「養生」とは命、生きる力を養うことであり、それは病気にならないようにするためだけの健康…

養生としての野口整体―立川昭二氏に『江戸時代の気の医学』を学ぶ1

立川昭二氏(医療史家)の説く日本人の「気」と野口整体の「気」の共通性

金井流個人指導における観察と「からだ言葉」

金井蒼天(省蒼)先生の個人指導における観察と気による心理療法

この体は骨盤が頭だ 2 私の金井流個人指導体験

「この体は骨盤が頭だ」2 個人指導を受ける 指導の順番が来て、問題の彼の話から始まった。そして、立姿での観察に入り、私はこのところの自分の状態を話した。話しながら涙が止まらなかった。悲しいというより、何かが溶けていくような感じだった。 広い和…

この体は骨盤が頭だ 1 私の金井流個人指導体験

私の指導体験 私がずっと以前に個人指導を受けた時に書いた体験談を二回に分けて紹介したいと思います。この拙文を通じ、金井先生の個人指導の実際を感じて頂けたら幸いです。 人によって、また時と場合によって指導内容には多様性があり、質、時間共に大き…

金井流個人指導―病症を経過する

野口整体 金井流個人指導の特長と今後予定する内容