野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕 ―「整体を保つ」は「身をたもつ」2

「心に主たるものあるべし」という言葉は、岩波書店版の『養生訓・和俗童子訓』の見出しに使われていた言葉です。 三1に引用した「技術を使う心」(月刊全生)の中で、野口晴哉先生は心と体を使う主体としての自分について次のように述べています。 …自分の…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕―「整体を保つ」は「身をたもつ」5

野口整体は現代における「道」― 整体を保ち、自然健康を保持して全生する ここまで述べてきたように、本章で取り上げた『養生訓』の内容を通じて、明治になっての近代西洋医学が国家医学とされる以前、日本人はどのような心に生きることで「全生(生を全う)…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕―「整体を保つ」は「身をたもつ」4

健康に生きる心を育てる「養生」としての野口整体 師野口晴哉は伝統的な「養生」の考え方について、「潜在意識教育法講座(1975年1月)」で次のように述べています(『月刊全生』)。 健康に生きる心(六十四) …人間のお腹の中にいる大腸菌は栄養を分解して…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕 ―「整体を保つ」は「身をたもつ」3

今回は心身の持主である自分とは何か、が焦点です。 心身の持ち主である自分― 心で気の集散を自由に行う 負の感情(不安や怒り、憎しみや妬みなど)は鳩尾(みぞおち)の緊張(実)として身体に残るのですが、「型」によって腰ができていると、その緊張が弛み…

第二章 三 日本人にとっての宗教とは =〔身体〕 ―「整体を保つ」は「身をたもつ」1②

②「養生(生を養う)」から「衛生(生を衛(まも)る)」へと健康観が移って行った日本の近代化 野口法の概要(野口晴哉著作全集第一巻 昭和8年 68頁) …人体が物質化する理由は、体から心が離るゝためです。又心が一部分に滞つて感覚の伝導が公平に行はれぬた…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」二3

病気と気、感情と気― 養生する上で必須な気の感覚 立川昭二氏は、日本人の「気」について次のように述べています(『からだことば 日本語から読み解く身体』早川書房)。 「景色」と「色気」 「気」には、東洋医学でいう「気功」などの「気」もありますが、…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」二2⑤

気の思想を基にした「気の医学」と野口整体― 日本の伝統的な生命観・身心観 ⑤整体指導における「気」 野口整体の生命観は、このような「気の医学」の伝統を受け継ぐもので、師野口晴哉は、整体指導で「気」を扱うことについて次のように述べています(『整体…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」二2④

気の思想を基にした「気の医学」と野口整体― 日本の伝統的な生命観・身心観 ④呼吸と導引 立川氏は、益軒は人の「生気」である呼吸法を養生における最重要項目に挙げている、と次のように述べています(『養生訓に学ぶ』第二部『養生訓』の方法 2 呼吸と導引…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」二2③

気の思想を基にした「気の医学」と野口整体― 日本の伝統的な生命観・身心観 前回からの続きで、「気」の話から入ります。 第一章 三7①では、 日本では心理的な意味で「気」という言葉を頻繁に使い、気を通して心を感受する伝統がありました。 師野口晴哉は…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」二1

今日から、第二章 二 江戸時代の気の医学『養生訓』―「気」を本とした日本古来の健康観 に入ります。 立川先生の江戸時代の気の医学の内容はこれまでも取り上げてきましたが、中巻では多くの頁を割かれていますので、そのまま載せていきます。 「かくれたも…

(補)全生と老荘思想

全生保身(生を全うし身を保つ)の思想 立川昭二氏の著書を読み始めた頃、「全生とは何か」という話の中で、金井先生から「全生保身(ぜんせいほしん)」(生を全うし身(み)を保つ)という言葉が出てきました。金井先生の「全生保身」は、おそらく野口先生の講…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 7 

整体とは良い空想ができる身心―「整体を保つ」ことは良き未来を創造する思想と実践である 師野口晴哉が説く養生、その「心のあり方」について紹介します(『風声明語2』全生社)。 Ⅰ 問題は、体ではなく心である。 人を責め、追及し、他人の過ちのために自…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一6

心身医学・ホリスティック医学と「養生の道」― 日本の思想『「気」の身心一元論』 ホリスティック医学(全人医療)とは、体だけでなく、心・精神・環境までひっくるめ人間を捉える医療であり、それを基本姿勢とする医学です。 本来全体として、関連性のなか…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 5 

病症を、「生活している人間」を通じて考える― 心と体を一つに観る眼が求められている 湯浅泰雄氏は、「病気をしている人間」を無視する科学的西洋医学について、次のように述べています(『ユング心理学と現代の危機』)。 医療における人間性 …医科学の立…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 4

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 早速ですが、続きに入ります。 自身の内にある病因が見失われた現代― 二元論から一元論の医学へ 現代の日本社会で主流となっている科学である西洋医学の医療では、「病症」は肉体(物質)…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 3

3 野口整体の源流は日本の身体文化― 東洋宗教文化(感情制御・気・瞑想)と自然健康保持 江戸時代以来、日本にからだ言葉が豊富に存在したことは、このような感性を通じ、敏感に自身や他者の感情を捉えることで、他者と感情を共有することができていたので…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 2

2「自分の健康は自分で保つ」― 江戸時代の「身をたもつ」という養生の伝統を受け継ぐ、「整体を保つ」という生き方・野口整体 師野口晴哉は、1874年(明治7年)の医制発布から62年後の1936年(昭和11年)、「語録 人間の革新」(『月刊全生』)で、近代科学…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 1③

③近代化による「養生論から衛生論へ」という時代に、新しい養生(修養)を打ち立てた野口晴哉 明治以来、外国との人と物の往来が盛んになり、コレラ・ペスト・赤痢・腸チフス・結核などの伝染病が大流行しました。なかでも最大の強敵はコレラで、明治四十四…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 1②

②「養生」という生き方 ― 生き方の哲理に裏打ちされた健康の思想と実践 立川氏は「養生」について次のように述べています(『養生訓に学ぶ』はじめに)。 「文化」としての養生…日本を知ることは江戸を知ることであるといわれるが、その江戸を生きていた人た…

第二章 江戸時代の「気」の医学と野口整体の自然健康保持 ― 不易流行としての養生「整体を保つ」一 1①

今日から第2章に入ります。以前から立川昭二氏の『養生訓』の思想や江戸時代の気の医学について紹介していますが、この章はその集大成で、野口整体とのつながり、そして近代医学との相違も詳細に述べられています。 立川先生は、近代と近代医学が見失ったも…