野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

共通感覚と気の感覚

触覚と「気」の感覚―共通感覚 4

触覚と「気」の感覚 中村雄二郎氏は「触覚」と共通感覚について、引き続き次のように述べています(『哲学の現在』)。 二 見る・聞く・触る 触覚は、他の諸感覚とくに筋肉感覚や運動感覚の助けをえて、私たちがものを摑み、とらえる働きをし、このものを手…

近代科学の「見る」、野口整体の「触る」―共通感覚 3

近代科学の「見る」 中村雄二郎氏は、近代と近代科学の発達、そして「見る」ことについて次のように述べています(『哲学の現在』)。 二 見る・聞く・触る 望遠鏡や顕微鏡が発明されたのも、人間が本格的に地理上の発見を行なうようになったのも近代はじめ…

共通感覚とは何か―共通感覚 2

共通感覚と「正心・正体」 これから入る中村雄二郎氏の共通感覚の内容は、『「気」の身心一元論』第一章二にある引用箇所の拡大版で、未刊の原稿ともなっている部分です。今回は私が引用を少し増やし、説明を入れながら進めていこうと思います。 その前に、…

自分と世界とのつながりと感覚―共通感覚 1

「自分にとっての意味」とは何か 前回、河合隼雄氏の「関係性の回復」についての文章を引用しました。河合隼雄氏はそれに続き、次のように述べています(『心理療法序説』)。 1 科学の知 「関係性の回復」はどうしてなされるのか。これに対して中村雄二郎…

見るものと見られるものの分離

科学の知にある「切断と支配」という特徴 今回から中村雄二郎氏の「共通感覚」に入る予定でしたが、その前に、私たちのものの見方に入り込んでいる科学性についてお話しようと思います。 人間が物質を対象とし、それを操作する時の方法として、近代科学は絶…

感受性を高度ならしむる―野口整体と近代科学の認識の相違

東洋の伝統と野口整体 学問的に言うと、人間の意識の作用には、「感覚・思考・感情」があるとされています。前回はこの中の「感覚」についてお話したのですが、近代科学で観察の主体となったのは「視覚」でした。客観的(=主観を排除して)に思考し、物を見…

正体・正心・正気―東洋の身心一元性 2

感覚と潜在意識 感覚には外界を感受する感覚(五感・外界感覚)と、身体の内側(体の状態)を感じる感覚(身体感覚)(註)があり、自分の状態を把握し、健康を保つ上では身体感覚が重要となります。 しかし、体が偏ると(潜在意識化した情動に支配されてい…

正体・正心・正気―野口整体の身心一元性 1

現代の社会通念・常識とは何か 先日、本を読んでいる時に、アインシュタインは「自分の目で見て、自分の心で感じている人は少ない」と言った、という一文に目がとまりました。 確かにそうかもしれない、と思います。間違えたり失敗したりするのを恐れている…