野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三1

三 瞑想的意識に導く整体指導 ここで、すこしユング心理学と個人指導についておさらいしておきましょう。詳しくは第四章を読んでください。 ユングは、無意識から意識へのエネルギーの流れがあると考えました。これは「心的エネルギー」というもので、「気」…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 二3

呼吸法は何のために行うのか、の生態的解説

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 二2

今回は呼吸法、とくに野口整体の中心的行法、脊髄行気法が主題となっています。また、活元運動の準備として行う邪気の吐出法も呼吸法の一つということができ、ここで述べられている体から心へ働きかけることを目的としています。活元運動が出るようにするた…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 二 1

二 「整体を保つ」という生き方とは「内を整える」こと 東洋宗教に共通する基礎体験は「瞑想法」― その心理学的意味 個人指導は、整体操法を施す(体を整える)こと、そして臨床心理的に行うことに特長があり、自力と他力の融合により瞑想的な意識に導き(「…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 4

野口整体の「整体」という行法と「全生」思想― 裡の自然を掴まえ、要求に順う 師野口晴哉は、人間における「自然」と活元運動について、次のように述べています(『月刊全生』)。 裡の自然 近頃〝自然〟ということが盛んに言われています。つまり、山へ行け…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 3

「人間の体は、心のこだわり、体の停滞を除くと自ずから自然に丈夫になっていくのです。」(月刊全生) これは、1970年潜在意識教育法講座での野口晴哉師の言葉で、潜在意識教育の目標は、人間の心と体を解放して自発的にはたらくようにすること、と講義の中…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 2

前回1②の指導例の後、金井先生は河合隼雄著『心理療法序説』から、次のような文章を抜粋し、文末につけてありました。 近代科学の根本には対象に対する「切断」がある。しかし、この親の場合はあまりにも極端としても、われわれは他人を何らかの方法によっ…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 1②③

体を整えることで心の力を啓く整体指導― 人生上の問題は自己の「心の力」で解決される ②「心の力」は身体にある 「天風哲学」(下巻で詳述)を創始した中村天風師は、チベット仏教「カルマ・カギュ派(註)」の第十五世管長・カリアッパ師(カルマッパ・カギ…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 1①

一「整体」という行法と「全生」思想― 良き未来を創造する瞑想的生活 今日から第七章に入ります。 近年、瞑想法は企業などでもストレス対策や能力開発のために活用されるようになりました。 また、新型コロナウイルスの感染抑止策の影響で、ストレスが新型ウ…

第六章 生き方を啓く整体指導― 感情の発達と人間的成長三5

池見酉次郎氏について― 科学と宗教の統合というべき心身医学への道 ここでは、第五章二から述べてきた心身医学を、日本で創始された、池見酉次郎氏の「人となり」を深めたいと思います。 氏は1963年に出版された『心療内科』に続き、1973年に出版された『続…

第六章 生き方を啓く整体指導― 感情の発達と人間的成長三4

「身体性」の文化とは自然の法則に従う生き方 第五章二 2で紹介した第四回国際心身医学会(1977年9月、京都国際会議場)での池見酉次郎氏の講演で、氏は、東洋思想について次のように続けています(『セルフ・コントロールと禅』Ⅱより要約)。 東洋思想にお…

第六章 生き方を啓く整体指導― 感情の発達と人間的成長三3

先日、曹洞禅の僧侶の方のブログで、永平寺での生活について書いた記事を拝見しました。 やっぱり、これはかなりだな…という感はありますが、出家者に課される型、厳しい規律とは違っても、きちんと坐って、食べることに集注する躾というのは、昔は一般的に…

第六章 生き方を啓く整体指導― 感情の発達と人間的成長三2

身体性の宗教・禅と精神性の医学・心身医学との出会い 池見氏は、ヨーロッパで禅を広めている弟子丸泰仙老師(註)を、フランスに訪ねた時のことを次のように述べています(『セルフ・コントロールと禅』より要約)。 氏は、1979年9月、イスラエルで開かれた…