野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

野口整体とユング心理学 瞑想法と心理療法

(補)最初の問題 2  野口晴哉

最初の問題 昭和33年3月 整体指導法初等講習会(『月刊全生』平成13年) 野口晴哉 ですから、指や手を当てて効果をあげようとする場合の一番重要な問題は、自分の力を統一するということになります。 いろいろな指の使い方やテクニックはその次の問題で、お…

(補)最初の問題 1  野口晴哉

経緯を忘れてしまったのですが、この原稿の最後に、「最初の問題」という野口先生の講義録の抜粋が入っていました。長いため、補足資料1・2として、2回に分けて紹介したいと思います。ブログ用改行あり。(近藤佐和子) 最初の問題 昭和33年3月 整体指導法…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三4③

野口整体の真髄「生命を感得する」禅の心 私達が自分の内面を開拓し、人間を丁寧に知り、人間の裡にある生きている不思議さとか、心の働きの微妙さとか、そういうものを丁寧に理解して手を当てておりますと、同じ愉気をするということでも違ってくるのです。…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三4②

野口整体の真髄「生命を感得する」禅の心 ②自分が拓かれていくと、…働きかける場面が違ってくる 師野口晴哉はその晩年、愉気法の会(1970年)での講義で、「気と心(潜在意識)」について、次のように述べています(『愉気法1』全生社)。 質問に答える 質…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三4①

野口整体の真髄「生命を感得する」禅の心 ①生きたものは生きたまま扱う禅 個人指導で、私が人を観るとは、「気」で観ているのです。統一体によって、気を鎮め、亢めて観るのです。 「気で観る」とは、観る人の「気」の質によっても、観える相が違ってくるも…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三3

今回の内容は、「潜在意識がはたらく意識状態」についてです。 潜在意識というと、歪みや滞りなどの問題のことを思いやすいのですが、野口晴哉先生は、自然な状態の潜在意識とは、自分の生命を守り、自分の種族を繁栄させようとする生命のはたらきであり、生…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三2

人間を理解・把握するための二つの方法 科学的方法・瞑想的方法 ― 理性によって学習し研究する近代科学・身体性を高めて気を感得する東洋宗教 上巻(第一部 第一・二章)で紹介した石川光男氏は、科学的方法と瞑想的方法について、次のように述べています(…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三1①

科学の知と禅の智の相違― 客観的理性と主観的に感得される気 ①野口整体の「気」の観方は東洋の伝統に基づいている

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三1①

三 潜在意識を啓く瞑想法と心理療法 今回から三に入りますが、三は「気」が中心テーマとなっています。気という言葉は、たとえば病院ではまずまともに扱われることはありませんし、現代社会においては、時と場所をわきまえないと「引かれてしまう」ことにも…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二4

心理療法における瞑想的意識の重要性― 自身の潜在意識のはたらきで相手の潜在意識を捉える 河合隼雄氏は、「来談者の孤立した心の世界に、本気で入っていこうとする態度で自他未分の人間関係を作ること」を、ユング派心理療法の基本姿勢と説き、第三章では、…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋)―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二3

整体とは明瞭な意識の状態で、意識と無意識が身体上で統合されている ユングは、人格の基盤は、理性ではなく情動性(情性・人を人たらしめる感情的能力)にある、と考えました(→日本の伝統「知よりも情」に同じ)。 湯浅泰雄氏は、ユングの説く「個性化」と…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋)―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二2

指導する者は故障探しではいけない。人間を物体扱いしてはいけない。その裏にある人間を掴まえて、その人間に適う方向に誘導していく(これが教育)ということが大事で、生理的な背きの中には、自由の抑え、性の抑え、成長の抑え、自発性の抑え、要求の抑え…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二1

ここから二に入りますが、二は野口晴哉師、そして金井先生と同様に近代という時代と近代化が人間に与えた影響について取り組んだユングが主題として取り上げられています。 金井先生は、上巻で湯浅泰雄氏について次のように紹介しています(第三章一)。 湯…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 一2

金井先生は、新型コロナウイルス禍を見ることなく亡くなりましたが、私は新型コロナウイルス関連のニュースなどを読むと、金井先生と話がしたいと痛切に思います。 スーパーに行って帰って来るだけで、総合病院に行ったような消毒の匂いが体から立ち上るのが…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 一1

今回から、中巻『ユング心理学と野口整体 心理療法と瞑想法』の終章に入ります。 今回の内容は、金井先生の遺稿である上・中・下巻のうち、上巻の主題についてで、終章全体を通して、上巻とのつながりが深い内容となっています。 一 科学を相対化し「禅文化…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三5②

活元運動は「動く禅」―Yさん(40代女性)の指導例 ② 生活で瞑想的(内に向かう)時間を持つ Yさんは文中で「自分では意識できない深いところに停滞沈着しているものを浮かびあがらせるためには、個人指導を受けることが有益なのだと思っています。」と言っ…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三5①

活元運動は「動く禅」―Yさん(40代女性)の指導例 気づきが身心の乱れを調える①

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三4

考える前の「感ずる」ことの大切さ 私は、主観を生む二つの要素「感覚と感情」、これを鍛練し「感性」を発達せしめることで、野口整体の指導を行なうことを続けて来ました。これにより自身の世界観は十年ごとに大きくステップアップしてきたように思います。…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三3

禅の心とは、初心者の心 Zen mind, Beginner’s mind

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三2②

明瞭な意識(無意識と統合された)を持って生きる ② 現代人に必要な意識と無意識を統合して生きる「道(タオ)」 一般的な辞書では、天心は「天の意思」などと表されていますが、「我執を離れ、全てを天 ― 大いなる意志 ― に委ねる」ことです。これは「人事を…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三2①

ユングは「意識水準の低下」ということばをよく使います。 たとえば抑うつ状態にある時は、落ち込んで何もやる気がしなくなったり、やらなければと頭の中で焦るばかりで行動できなくなったりしますが、こういう時は無意識の側に心的エネルギーが滞留していて…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三1

三 瞑想的意識に導く整体指導 ここで、すこしユング心理学と個人指導についておさらいしておきましょう。詳しくは第四章を読んでください。 ユングは、無意識から意識へのエネルギーの流れがあると考えました。これは「心的エネルギー」というもので、「気」…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 二3

呼吸法は何のために行うのか、の生態的解説

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 二2

今回は呼吸法、とくに野口整体の中心的行法、脊髄行気法が主題となっています。また、活元運動の準備として行う邪気の吐出法も呼吸法の一つということができ、ここで述べられている体から心へ働きかけることを目的としています。活元運動が出るようにするた…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 二 1

二 「整体を保つ」という生き方とは「内を整える」こと 東洋宗教に共通する基礎体験は「瞑想法」― その心理学的意味 個人指導は、整体操法を施す(体を整える)こと、そして臨床心理的に行うことに特長があり、自力と他力の融合により瞑想的な意識に導き(「…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 4

野口整体の「整体」という行法と「全生」思想― 裡の自然を掴まえ、要求に順う 師野口晴哉は、人間における「自然」と活元運動について、次のように述べています(『月刊全生』)。 裡の自然 近頃〝自然〟ということが盛んに言われています。つまり、山へ行け…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 3

「人間の体は、心のこだわり、体の停滞を除くと自ずから自然に丈夫になっていくのです。」(月刊全生) これは、1970年潜在意識教育法講座での野口晴哉師の言葉で、潜在意識教育の目標は、人間の心と体を解放して自発的にはたらくようにすること、と講義の中…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 2

前回1②の指導例の後、金井先生は河合隼雄著『心理療法序説』から、次のような文章を抜粋し、文末につけてありました。 近代科学の根本には対象に対する「切断」がある。しかし、この親の場合はあまりにも極端としても、われわれは他人を何らかの方法によっ…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 1②③

体を整えることで心の力を啓く整体指導― 人生上の問題は自己の「心の力」で解決される ②「心の力」は身体にある 「天風哲学」(下巻で詳述)を創始した中村天風師は、チベット仏教「カルマ・カギュ派(註)」の第十五世管長・カリアッパ師(カルマッパ・カギ…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 一 1①

一「整体」という行法と「全生」思想― 良き未来を創造する瞑想的生活 今日から第七章に入ります。 近年、瞑想法は企業などでもストレス対策や能力開発のために活用されるようになりました。 また、新型コロナウイルスの感染抑止策の影響で、ストレスが新型ウ…