第七章 禅文化「道」としての野口整体ー瞑想法と心理療法
活元運動は「動く禅」―Yさん(40代女性)の指導例 ② 生活で瞑想的(内に向かう)時間を持つ Yさんは文中で「自分では意識できない深いところに停滞沈着しているものを浮かびあがらせるためには、個人指導を受けることが有益なのだと思っています。」と言っ…
活元運動は「動く禅」―Yさん(40代女性)の指導例 気づきが身心の乱れを調える①
考える前の「感ずる」ことの大切さ 私は、主観を生む二つの要素「感覚と感情」、これを鍛練し「感性」を発達せしめることで、野口整体の指導を行なうことを続けて来ました。これにより自身の世界観は十年ごとに大きくステップアップしてきたように思います。…
禅の心とは、初心者の心 Zen mind, Beginner’s mind
明瞭な意識(無意識と統合された)を持って生きる ② 現代人に必要な意識と無意識を統合して生きる「道(タオ)」 一般的な辞書では、天心は「天の意思」などと表されていますが、「我執を離れ、全てを天 ― 大いなる意志 ― に委ねる」ことです。これは「人事を…
ユングは「意識水準の低下」ということばをよく使います。 たとえば抑うつ状態にある時は、落ち込んで何もやる気がしなくなったり、やらなければと頭の中で焦るばかりで行動できなくなったりしますが、こういう時は無意識の側に心的エネルギーが滞留していて…
三 瞑想的意識に導く整体指導 ここで、すこしユング心理学と個人指導についておさらいしておきましょう。詳しくは第四章を読んでください。 ユングは、無意識から意識へのエネルギーの流れがあると考えました。これは「心的エネルギー」というもので、「気」…
呼吸法は何のために行うのか、の生態的解説
今回は呼吸法、とくに野口整体の中心的行法、脊髄行気法が主題となっています。また、活元運動の準備として行う邪気の吐出法も呼吸法の一つということができ、ここで述べられている体から心へ働きかけることを目的としています。活元運動が出るようにするた…
二 「整体を保つ」という生き方とは「内を整える」こと 東洋宗教に共通する基礎体験は「瞑想法」― その心理学的意味 個人指導は、整体操法を施す(体を整える)こと、そして臨床心理的に行うことに特長があり、自力と他力の融合により瞑想的な意識に導き(「…
野口整体の「整体」という行法と「全生」思想― 裡の自然を掴まえ、要求に順う 師野口晴哉は、人間における「自然」と活元運動について、次のように述べています(『月刊全生』)。 裡の自然 近頃〝自然〟ということが盛んに言われています。つまり、山へ行け…
「人間の体は、心のこだわり、体の停滞を除くと自ずから自然に丈夫になっていくのです。」(月刊全生) これは、1970年潜在意識教育法講座での野口晴哉師の言葉で、潜在意識教育の目標は、人間の心と体を解放して自発的にはたらくようにすること、と講義の中…
前回1②の指導例の後、金井先生は河合隼雄著『心理療法序説』から、次のような文章を抜粋し、文末につけてありました。 近代科学の根本には対象に対する「切断」がある。しかし、この親の場合はあまりにも極端としても、われわれは他人を何らかの方法によっ…
体を整えることで心の力を啓く整体指導― 人生上の問題は自己の「心の力」で解決される ②「心の力」は身体にある 「天風哲学」(下巻で詳述)を創始した中村天風師は、チベット仏教「カルマ・カギュ派(註)」の第十五世管長・カリアッパ師(カルマッパ・カギ…
一「整体」という行法と「全生」思想― 良き未来を創造する瞑想的生活 今日から第七章に入ります。 近年、瞑想法は企業などでもストレス対策や能力開発のために活用されるようになりました。 また、新型コロナウイルスの感染抑止策の影響で、ストレスが新型ウ…