野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

上下型1種・2種①―体癖論Ⅱ 10

今日から上下型1種・2種の各論に入ります。

 

上下型1・2種の共通した特徴

 上下型1種の体型的特徴はわりと似ていて、顔も長くて体型も細長いのが典型的です。でも、体癖は複合しているので、一見分かりにくい場合もあります。

 しかし、上下型かどうかを観る上での中心は「首」で、首が太い(1種)・細い(2種)という違いがありますが、共通して首の長さ目立ち、上に向かって伸びています。

 首の太い・細いはどの体癖も奇数種・偶数種でも言えることで、腰がぬけて消極的になっている時細くなり、腰が入って積極的になると太くなるという変化をします。どの体癖でも大脳が働き、思考するときは、体の状況が反映しているのです。

 ただ上下型は、大脳から体への影響力が強いのが特徴です。そして、動作時の始点が「首」にあって、お辞儀をしたり、立ったりするときは首から動きます。また重いものを持つと首が疲れます。

 また首が弛まないと全体が弛みません。上下型の人が風邪を引くときは、歯や耳の痛み、頭痛、顔が熱くなる、首が痛くなる、苛立つ、といったように首から上の方から始まります。そして健康には何より「睡眠が大切」と思い、睡眠時間が少ないとそれを気にします。

 上下型は、客観性と話の理解力はありますが、刺激に対する反応として、まず頭が働くので、聞いた言葉を言葉通りにのみ受け取ってしまうことがあります。

 人の言ったことや、やったことは見えても、そのような表現をする相手の心や、どういう気持ちでやろうとしているのかという心を、体で感じるのは難しい傾向があるのです。

 自分自身は非常に常識的であるという思い込みが強く、自分の観念を「普通こうでしょう」と普遍的なものとして捉え、他人に当てはめようとします。

 また社会の常識、世間を重んじ、自分が常識に外れていると言われることを嫌います(「そんなことをして…。人に見られたらどうします」という叱言が一番堪える)。人にどう思われるかが非常に気になるのです。誰か(夫や自分の子供であっても)を「非常識」と判断すると、批判的になってその非常識な点を責め、冷たく感じるほど厳しく対することがあります。

 そして自分で感じたことは信じられず、決断力もないのですが、他人(自分が認めた人)の言うことや、大勢の人がいいと認めていることだと、自分に適おうと適うまいとやってしまったり、良しとする傾向があります。

『「気」の身心一元論』(未刊原稿では下巻の体癖論)に、「如実知自身」という見出しでKさんという上下型の男性の例が出てきます。正確には上下型と捻れ型が複合しているのですが、その人は自分を「上下型ではないか」と思い、金井先生が頸椎の六番を観て、上下型があることを確認したのです。

一般的には頸椎七番が大きいのですが、上下型は六番が大きく目立つのが特徴の一つです。

 この中に出てこない話なのですが、Kさんは当時、メガバンクの投資部門にいました。彼の専門は長期的視点で見た世界潮流として、「将来性がない」と分析されている分野(製薬関連)であり、仕事に意欲が持てない理由としてそれを挙げていました。

 このように、将来のこと、先のことに注意が行くのも上下型的感受性です。またヨーガなどに関心を持つ人からは、あまり清く正しい業界とは評価されない分野であり、もっと大義のある仕事をしたいと考えていたようで、こういう点も上下型的感受性ということができると思います。