2019-01-01から1年間の記事一覧
3 野口整体の源流は日本の身体文化― 東洋宗教文化(感情制御・気・瞑想)と自然健康保持 江戸時代以来、日本にからだ言葉が豊富に存在したことは、このような感性を通じ、敏感に自身や他者の感情を捉えることで、他者と感情を共有することができていたので…
2「自分の健康は自分で保つ」― 江戸時代の「身をたもつ」という養生の伝統を受け継ぐ、「整体を保つ」という生き方・野口整体 師野口晴哉は、1874年(明治7年)の医制発布から62年後の1936年(昭和11年)、「語録 人間の革新」(『月刊全生』)で、近代科学…
③近代化による「養生論から衛生論へ」という時代に、新しい養生(修養)を打ち立てた野口晴哉 明治以来、外国との人と物の往来が盛んになり、コレラ・ペスト・赤痢・腸チフス・結核などの伝染病が大流行しました。なかでも最大の強敵はコレラで、明治四十四…
②「養生」という生き方 ― 生き方の哲理に裏打ちされた健康の思想と実践 立川氏は「養生」について次のように述べています(『養生訓に学ぶ』はじめに)。 「文化」としての養生…日本を知ることは江戸を知ることであるといわれるが、その江戸を生きていた人た…
今日から第2章に入ります。以前から立川昭二氏の『養生訓』の思想や江戸時代の気の医学について紹介していますが、この章はその集大成で、野口整体とのつながり、そして近代医学との相違も詳細に述べられています。 立川先生は、近代と近代医学が見失ったも…
序― 野口整体金井流「心療整体」について 「科学の知」は心身分離 「禅の智」は身心一如― 金井流整体指導の「心身医学」的解説 現代の科学的教育によって発達した「理性」に偏った意識は、自我と身体に分裂をもたらしています。その理由(わけ)は、現代人は「…
序― 野口整体金井流「心療整体」について 2017年冬、金井先生と私は、中巻の原稿を中心に、野口整体金井流についての内容をコンパクトにまとめた『心療整体と養生―臨床の知からストレスを観る』(商業出版用の原稿)を編集しました。この本のために用意した…
からだ言葉は、気の「心理的側面」を表していた ― 気のはたらきを研究するには深層心理学の方法が必要 ②日本の「腰・肚」文化とからだ言葉 現代の日常的な意識における人間関係では、各人の「心」は皮膚の内側、または頭の中に閉じ込められてはたらくものと…
からだ言葉は、気の「心理的側面」を表していた ― 気のはたらきを研究するには深層心理学の方法が必要 ①気で心理的側面を観るからだ言葉 本章のからだ言葉で述べてきたように、日本では心理的な意味で「気」という言葉を頻繁に使い、気を通して心を感受する…
腰が重い― からだ言葉が通じない若い世代 二十代中頃の女性の、最初の個人指導でのことです。 観察で背中から腰を観て、私は「腰が重いんだね」と問いかけたのですが、彼女はその意味が解らないのです。 「腰が重い」というのは、「億劫」、また「行動力がな…
向かっ腹が立つ・頭痛の種 若い女性の個人指導例です。この二十歳ぐらいの女性は、頭痛と吐き気がひどく、病院でレントゲンやMRIで調べたそうですが、医学的には原因がはっきりしないようです。 〔身体〕を観察した上で、「何か嫌なことがなかった?」、…
腹黒い 1991年頃、三味線弾きだった年配の女性(熱海在住の元芸妓(げいぎ))が、「背中を痛めた」ということで指導を受けに来たことがあります。 次の指導時、この人に「どのような感じになりましたか」と尋ねますと、「お陰で腹黒いのがとれました」と言う…
肩身が狭い その1 音楽活動をしているFさんの個人指導例です。 久しぶりにきたFさんは、うつ伏せで観察すると、肩がきゅんと狭くなっていました。私は「Fさん、今日は肩が大変狭くなっていますよ。どんなことがありましたか」と声をかけたのです。 する…
地に足が着く・浮足立つ ある個人指導で、終わりの正坐で腰が入ったことを確認し、立姿になってもらい「どのように感じますか」と尋ねますと、「足の裏がピタッとし、しっかり立てている感じです」と、この人は答えました。 この時「これが、地に足が着くと…
からだ言葉で「気の体」再発見!― 気は心と体をつなぐもの 西洋医学では、医学生は死体解剖をするところから勉強を始めます。しかし、死んだ人の体は動きません。生きている人を観察するからこそ表情が読め、「今日は元気そうだ」、また「元気がない」など、…
理性で捉える肉体と、感性で捉える身体 ― なぜ、心身二元論・身心一元論について学ぶのか 現代では、近代西洋医学の解剖学を基礎とした生理学を小学校で習うことで、そのような解剖的身体観(=肉体観)が意識に入っています。こういう教育がなかった時代は…
今回は管理人、近藤佐和子が潜在意識教育と対話の要求についてまとめた文章を補足として入れることにしました。 自分との対話と潜在意識教育 潜在意識教育の出発点は、「全力発揮できない」「一つことに集中できない」「意志が行動にならない」「人との関係…
身体に表情を読む「パターン認識」能力― パターン認識により潜在意識を受け取る これまで述べてきたように、私の個人指導の中でのからだ言葉とは、体に現れている「表情」を私が形容し(形を通して、その心を言葉や例えを使って言い表す)、その上で相手に事…
身体を気で観ることで、潜在意識を整える 「へそを曲げる」というのは「機嫌をそこねて意固地になる」という意味ですが、「その心」が本当にへその状態に表れるのです。 「首が回らない」は、「借金で首が回らない」とよく使われます。私が観てきたところで…
からだ言葉と野口整体の身体の観方― 身体感覚(身体意識)から生まれたからだ言葉 私は、「体の表情(変化している様子)」を観察し、その人がある感情を体験したことで、その心情が言葉通りの身体の形となって表れていることを、多くの臨床例によって確かめ…
二 体が訴えている心(潜在意識)を「からだ言葉」で表現する 今回から二の「からだ言葉」と整体の観察についての内容に入ります。 整体の観察では「何を観察するか」が一番焦点になるのですが、ここでは、物質的にそこにある「体」を見るのではなく、そこに…
進み得る方向において観る 師野口晴哉が亡くなった時、私は28歳でしたが、熱海に24歳で来て、師が亡くなるまでの間はがんがん仕事をしていました。 師の「荒削りだが、いい」という言葉も間接的に頂いて励んでいました。 ご自身亡き後、私の性質からして協会…
理解されているという安心感を与える人 見田宗介氏(註)は、潜在意識間の交流について、朝日新聞の連載「私の野口晴哉②」(2004年㋃9日)で次のように述べています。 椎骨百万 「包括的な合理性」の方へ …イスラエル人の母親が逆子に困って訪れた時、野口は…
第一章の途中ですが、巻頭「潜在意識は体にある!」の中から、潜在意識についての内容を差し込みます。 師野口晴哉は「気」の達人― 潜在意識を対象とする師の心理療法 それで、翌年春の一九六七(昭和四十二)年四月二日、師野口晴哉に入門したのです。それ…
今回は一の最後で、野口整体の身体観を学ぶ意味についての内容に入ります。 野口整体の身体観というのは、野口先生が「骨格筋の生理と心理」とも表現しているように、運動系を中心とした観察をする見方のことを言います。筋肉や骨を客観的に観察するというの…
野口整体の真骨頂 身体に観察できる「情動の持続」 ③個人の感受性によって異なる情動反応 ところが多くの場合、本人には、いつ、どのような場面で強い陰性感情が発生したのか分からないという点が、これ(情動の持続)に対する理解を容易ならざるものとして…
野口整体の真骨頂 身体に観察できる「情動の持続」 ②身体に観察する「情動の持続」 情動(emotion)は「快情動」と「不快情動」に大別されますが、個人指導では、健全性を損なう隠れた原因という点で、「不快情動」が対象となります。 情動は、動物(犬や猫…
野口整体の真骨頂 身体に観察できる「情動の持続」 ①情動を感情として意識化(分化)する心療整体 情動を自身で制御する ―― 不快を自身で切りかえることで落ち着きを取り戻す ―― 前提となる情動知覚(情動を認識する)(註2)において、重要なのが身体感覚…
今回の内容は、整体指導の観察についてです。 潜在意識と言うと、乳幼児期から思春期あたりまでに形成された、比較的遠い過去のトラウマを連想する人も多いのですが、ごく最近起きた情動体験も潜在意識となって心と体を支配します。でも、時間経過の長短、ま…
「気」を集めて身体を観ることで分かる心― 体に潜在意識を観る 今回から、第一章に入ります。これは、整体指導者が「何を観察するか」についての章です。この内容は整体の人間観、身体観の本質にせまるもので、野口整体の著書で観察について詳細に述べる内容…