野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 一1②

1 コンプレックスとは ②身体症状が表現する不快情動 また、河合氏は先の例に先立って、コンプレックスを次のように説いています(『コンプレックス』第一章)。 1 主体性をおびやかすもの われわれは自分で自分の行動を律することができる、と思っている。…

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 一1①

近藤 完成している中巻の編集を、ブログ用に少し再編しました(内容の削除はありません)。まず、コンプレックスと言うと「劣等感」を思ってしまう人が多いので、心理学的な意味でのコンプレックスとはどのような意味かを確認しながら読み進めてください。 …

第四章 野口整体とユング心理学― 心を「流れ」と捉えるという共通点 一

一 個人指導と主体性を損なう偏り疲労―「感受性を高度ならしむる」整体指導 今回から第四章に入ります。第四章は深層心理学の実際に入るため簡単ではありませんが、中巻の中でも白眉と言える章で、人間の心と体の間にあるコンプレックスが焦点となっています…

野口晴哉『風声明語』より

現在の如く、世界中騒然としている時でも、 心を静めれば静かなる時を得ることもできる。 世界が平穏な時でも、 心が騒げば蚤一匹いただけでも騒げる。 人間とはこの如く自由に生きるはたらきを持っている。 このことに気づき、いつも楽々悠々生きたい人はそ…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 三5

自分で自分のことを考える「手伝い」をする立場―「気で相手を観る」ことを身に付ける 河合氏は「心理療法を行う立場」について、次のように続けています(『「日本人」という病』)。 病のあとに発揮される創造性 物理学であれば、私が客観的に研究した物の…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 三4

心を受け取る「他者」がいることの意味―「想念と自分」の間に隙間ができることで、自分のことを考える力を養う 河合隼雄氏は「自分で自分の研究をする」際に、他者が介在する意味について、次のように述べています(『「日本人」という病』)。 話の聞き手が…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 三3

自分を知る智(自己知)」はいかに啓かれるか

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 三2② 

人の感じる〈心のはたらき〉にある「神」― つながりを教えていた「神話の知」を失った現代 河合氏は同著で次のように続けています。 1 科学の知 「関係性の回復」はどうしてなされるのか。これに対して中村雄二郎は、われわれは科学の知のみではなく、「神…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 三2①

「関係性」を失わせる科学至上主義 ① 科学的方法論に頼ることでもたらされた関係性の喪失 科学というものは、研究対象(物)より自分(の心)を切り離す(切断)という「物心二元論」で成り立っています。これを「客観的」観察と言い、それは、物を対象化し…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 三1

三 自身の心を啓く道筋が他者の心を啓く道筋となる― モノを知る科学的方法とは違う「人間を知る」こと 自分を「のり超えた力」が相手の潜在意識を理解し導く力となる ― 師が「自分の心を観る」ことから始まった「病気は心の訴えである」という思想 師野口晴…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 二4

野口晴哉先生には、二歳の時に鍼灸師の子どものいないおじ夫婦に養子に出され、その後夫婦に子どもができたために帰された、という生い立ちがあります。おじ夫婦には一人子として可愛がられ、映画や音楽にも触れることができたとのことですが、戻った生家は…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 二3 

河合隼雄氏がフルブライト留学生としてアメリカに留学した当時、海外でもユング心理学(分析裡心理学)は少数派でした。 以前読んだアンドルー・ワイル著『癒す心、治す力』という本には、その当時、精神分析を行う精神科医が「アルケミスト(錬金術師)」と…

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 二2

前回に続き、河合隼雄氏のユング心理学と野口整体の潜在意識教育との共通性についての内容に入っていきます。 臨床心理の難しさは客観ではなく主観の歪みに焦点を当てる所にあって、この主観の問題に一緒に取り組むために必要な条件が「自分のことから始まる…

(補)全生思想 野口晴哉『治療の書』より

中巻冒頭「全生思想」の中から、第三章に沿った部分を紹介します。 (金井) 師は治療を行っていた時代に、「治療する人」の心得として、次のように説いています(『治療の書』)。これは、整体指導者において大切な指導力を養う心のあり方で、「治療」とい…

お知らせ 身体感覚を高める修養

4月より、よみうりカルチャー八王子で講座を始めることになりました。 日時 第四日曜日13:00~14:30 4/26・5/24・6/28・7/26・8/23・9/27 受講費 6か月 6回 会員 16,500円 設備費 924円 よみうりカルチャー八王子は八王子駅ビル セレオ八王子10Fです。 …

第三章 自分を知ることから始まるユング心理学と野口整体 二1

二 心理療法に必須である「自分を知ること」(潜在意識を理解する)を、河合隼雄氏に学ぶ―「自分」を探求するためのユング心理学 人間を理解することは「自分を知ること」から始まる― 科学的診断と人間に向き合うこと 河合隼雄氏は1952年、京都大学理学部数…