野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三1①

科学の知と禅の智の相違― 客観的理性と主観的に感得される気 ①野口整体の「気」の観方は東洋の伝統に基づいている

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 三1①

三 潜在意識を啓く瞑想法と心理療法 今回から三に入りますが、三は「気」が中心テーマとなっています。気という言葉は、たとえば病院ではまずまともに扱われることはありませんし、現代社会においては、時と場所をわきまえないと「引かれてしまう」ことにも…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二4

心理療法における瞑想的意識の重要性― 自身の潜在意識のはたらきで相手の潜在意識を捉える 河合隼雄氏は、「来談者の孤立した心の世界に、本気で入っていこうとする態度で自他未分の人間関係を作ること」を、ユング派心理療法の基本姿勢と説き、第三章では、…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋)―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二3

整体とは明瞭な意識の状態で、意識と無意識が身体上で統合されている ユングは、人格の基盤は、理性ではなく情動性(情性・人を人たらしめる感情的能力)にある、と考えました(→日本の伝統「知よりも情」に同じ)。 湯浅泰雄氏は、ユングの説く「個性化」と…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋)―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二2

指導する者は故障探しではいけない。人間を物体扱いしてはいけない。その裏にある人間を掴まえて、その人間に適う方向に誘導していく(これが教育)ということが大事で、生理的な背きの中には、自由の抑え、性の抑え、成長の抑え、自発性の抑え、要求の抑え…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 二1

ここから二に入りますが、二は野口晴哉師、そして金井先生と同様に近代という時代と近代化が人間に与えた影響について取り組んだユングが主題として取り上げられています。 金井先生は、上巻で湯浅泰雄氏について次のように紹介しています(第三章一)。 湯…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 一2

金井先生は、新型コロナウイルス禍を見ることなく亡くなりましたが、私は新型コロナウイルス関連のニュースなどを読むと、金井先生と話がしたいと痛切に思います。 スーパーに行って帰って来るだけで、総合病院に行ったような消毒の匂いが体から立ち上るのが…

終章 瞑想法(東洋)と心理療法(西洋) ―「生命の原理」を理解し、無意識の世界を啓く 一1

今回から、中巻『ユング心理学と野口整体 心理療法と瞑想法』の終章に入ります。 今回の内容は、金井先生の遺稿である上・中・下巻のうち、上巻の主題についてで、終章全体を通して、上巻とのつながりが深い内容となっています。 一 科学を相対化し「禅文化…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三5②

活元運動は「動く禅」―Yさん(40代女性)の指導例 ② 生活で瞑想的(内に向かう)時間を持つ Yさんは文中で「自分では意識できない深いところに停滞沈着しているものを浮かびあがらせるためには、個人指導を受けることが有益なのだと思っています。」と言っ…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三5①

活元運動は「動く禅」―Yさん(40代女性)の指導例 気づきが身心の乱れを調える①

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三4

考える前の「感ずる」ことの大切さ 私は、主観を生む二つの要素「感覚と感情」、これを鍛練し「感性」を発達せしめることで、野口整体の指導を行なうことを続けて来ました。これにより自身の世界観は十年ごとに大きくステップアップしてきたように思います。…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三3

禅の心とは、初心者の心 Zen mind, Beginner’s mind

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三2②

明瞭な意識(無意識と統合された)を持って生きる ② 現代人に必要な意識と無意識を統合して生きる「道(タオ)」 一般的な辞書では、天心は「天の意思」などと表されていますが、「我執を離れ、全てを天 ― 大いなる意志 ― に委ねる」ことです。これは「人事を…

第七章 禅文化「道」としての野口整体― 瞑想法(セルフコントロール)と心理療法 三2①

ユングは「意識水準の低下」ということばをよく使います。 たとえば抑うつ状態にある時は、落ち込んで何もやる気がしなくなったり、やらなければと頭の中で焦るばかりで行動できなくなったりしますが、こういう時は無意識の側に心的エネルギーが滞留していて…