体癖的特性が偏ると、生きる力の全体性を損なう
(金井)
体癖修正とは、体癖による「生活上の妨げとなるもの」を修正するということで、正確には体癖的偏り疲労の修正(さらには偏り疲労を作り出す体の歪みの修正)、という意味です。
師が言う「生活」とは「要求を実現しようとする動き」のことです。また師は、体癖について「要求というのは人間の生命であり、その生命の方向に個人個人の癖がある。」と述べています。
前回、上下型は「要求よりは頭で考えたことの実践の方が濃く、それをしようとする意識が強く、それが生活の中心になる」と紹介しました。
それで上下型は、本能に従って動くことが鈍く、食べるのでも栄養があるといわれているもの、効能書にそう書かれているものを食べ、さらに何時だから食べなくてはならない、何時になったから便所へ行かなくてならない、と考えて動作するのです。
また、「そんなことはみっともない。他人に見られたらどうしますか」と、いつも他人の目を気にするのです。
このような上下型にとって、自然健康保持をする上で障害となるものは何かを考えてみましょう。
上下型の特徴は、体の要求として感じないということです。頭の中でこれがいいと思えばその如く感じます。良いと考えられることをやっていると、壊れても不思議のない体でも一応は良くなるという大脳支配の面が非常に強いのです。
上下型はもともと、体が丈夫で野蛮な傾向があり、そのために、大脳だけで行為する(感情・感覚に鈍い)ことに耐えられるのだと師は述べていますが、このような生活様式はいくら自分で良いと確信してやっても、体の要求に添わなければ体においては無理になるのです。
頭で決めた規則的な食べ方は守られたとしても、胃袋にとっては食べたくないうちに食べさせられた、胃袋が働く準備をしないのに食わされたという面では、頭で生活する面が多くなるほど、体に無理をかけることになります。
上下型は丈夫な体だから無意識に調整して無事を保っているけれども、健康を保つ上では「裡の要求を実現する」ことを、生活の基本とするのが一番大切なのです。
さらには、体癖修正によって体力発揮、体の中の能率促進、或いは頭の働き方が広くなる、ということにつながっていく(感受性を高度ならしむる)ことが目標です。
体癖修正とは次の三つの段階を含んでいるものです。
①体癖的偏り疲労の修正
②体癖的偏り疲労をもたらす、体の歪み(偏り状態)の調整
③潜在体癖の呼び起こし(体癖修正を進めると、人間の裡にある潜在している体癖が現れてくることがある)