野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

上下型1種・2種②―体癖論Ⅱ 11

上下型1種・2種

 思ったよりも書く内容がいっぱいで、二回になってしまいました。今回も上下型、1種と2種の特徴です。

 

上下型1種

 1種は緊張した時、首(頸椎筋)から肩が硬くなって、首が前に出る。

考えることが要求を実現するための「運動」であり、考えることによって環境に適応する。

 そのため物事の渦中にいる(感覚的に現場を捉え対応する)よりも、少し離れて客観的な立場にある時の方が、頭で状況を理解することができるので、現実感がある。

 体の要求より頭で考えたことを実践しようとする意識が強く、それが生活の中心になる。たとえば、食べたいものより、食べるとよいとされているものを食べる。しかし体は非常に丈夫なので、長生きする人が多い。

 体は非常に丈夫な方だが、「ああではないか」と悪い空想をしたり、「こうなるのではないか」不安になって先のことを考え悩んだり、痛みを頭で増幅してしまうことが病症の経過を乱す。

観念的で、観念のとおりに生活・現実を合わせようとする。教条主義的になりやすい。

一種は「思考積極型」と言うことができ、「こうしよう、ああしよう」と積極的にいろいろな事を考え出し、自分では行動せずに他の人を動かそうとしたり、使ったりする。

頭の中で答えが出てしまうと満足してしまう。例えば、旅行の計画を立てるのが好きで、お弁当の内容や時間割など細かく予定を考えるが、計画が完成するとそれで気が済んで行動しない(机上旅行者)。

毀誉褒貶に敏感で、「良い」と信じている限り、面子のためには命を惜しまないようなこともある。一旦「良し」とした観念を変えることが難しい。

 

上下型2種

 2種は緊張すると首が余分に反り返り、縮みあがったように体中を硬直させる。弛緩すると首が前に出る。

 2種は心配や不安などの感情エネルギーが頭に上がっても、一種のように大脳皮質に反射して思考になるのではなく、間脳に反射して生理的な変化になる(頭の中のごちゃごちゃしたこだわりが身体に反映する)。頭に上ったエネルギーが胃・心臓などの臓器に直接影響するのが特徴。

 しかし「アレキシサイミア(不満などの感情がおきても自覚できない性格傾向。心身症患者に多い)」的で、起きた症状に対する不安などは過敏だが、大元の感情と身体感覚(首や頭の緊張)には鈍い傾向がある。

(注)感情が分からないまま体にそれが反映するという意味では、4種と2種は似ていて、体型も直線的で似ている。しかし、緊張する部位が2種は首、4種は鳩尾、という違いがある。

 2種は「受動的記憶型」で記憶力に優れ、決められた方法(マニュアル)通りにやろうとする。「君の考えたようにやりなさい」と言われると自信がもてず、自分の責任になると思うと、何もできなくなる。

 自分が良い、正しいと思っていたことでも、新聞や本など「活字」的媒体(また権威のある人)がそれに反したことを述べていると、すぐにそれを撤回し、その意見に同調する。

 受身で、他人にはきわめてお人好しで八方美人。誰にも彼にもいい顔をして、断るべきことも断れない。しかし不平不満、不信は常に渦巻いている。

 反論したり、断ったりという「言うべきこと」が言えない二種の人は、陰で「言い方が足りない、もっと言え」と人をあおり、自分が言えないことを人に言わせようとする。

 そして自分ができない、責任が持てないことの言い訳の為に、他人の事をワイワイ言い立てる、告げ口をするという行動に出ることがある。そういう保身のための影響力は強く、他の体癖の人をも同調させ、結束力を高めることがある。

 団体(特にあまり人数が多くない集団)の中では一番偉い人の周りにいて、人の上に立とうとする人、強がっている人に好かれる。一人で対する2種は大人しい良い人に見えるが、集団の中、ことに裏では違った顔を持っている(自分ではその自覚がない)のが特徴。