一 Nさんの指導例
今日から第二章 活元運動に入ります。活元運動の章なのに、どうして個人指導例が?と思う人もいるかもしれません。
金井先生の個人指導では、心身が統一された状態に導く上で活元運動が大きな役割を果たしていました。指導の中で本物の活元運動が出ると、気が切り替わっていく瞬間が受ける側にも明確に自覚できるのです。
活元運動を実践する上で、金井先生が言っていたのは「体が動く、心も動く活元運動」ということでした。活元運動の体感として「体が勝手に動く!」という人がいますが、それは初歩の間のことなのです。
そして、金井先生の指導を受けている人は身体に「活元運動スイッチ」ができていて、活元運動の誘導がとても楽でした。個人指導の目的とはこういうことなのかと思ったものです。
整体指導の中では活元運動と個人指導は車の両輪と言っても良く、相乗効果があり、ことに自身の心と活元運動がひとつになっていく上で大きな意味があり、この指導例はそれがよく現れていると思います。
1 野口整体で解った体の賢さ― 「私の体は、私の頭より賢い」
高校で「生物」の教師をしている女性(Nさん)が、ある個人指導時、次のように話しました。
「金井先生の個人指導を受けるようになって一番の収穫は、『私の体は、私の頭より賢い』ということを知ったことです」。
私の個人指導では活元運動を併用していますから、良く活元運動が出るようになった人は、個人指導中に、活元運動や「活元ストレッチ」と呼んでいる動きが活発になります。
Nさんは活発になったそれらの様を形容し、先のように表現したのです。そして、それには次のような理由があります。
この女性教師は体調を崩して困った時「どうしたらいいのだろう」と、「よく考える頭」の持ち主なのです。
それは、彼女が中学・高校と良い成績で一流大学に進んだ経歴からも知ることができますが、そんなNさんが「どうしたらいいのだろう」と、頭で考えても解決できない体の問題を、「錐体外路系(無意識)は解決する力がある」と理解するようになったのです。
Nさんは、私が一定期間の指導経験を通じて、何より「物事の理解力がある」と認識できる「身体」の持ち主で、先の言葉は、錐体外路系の運動である活元運動に対する理解を、「感動」とともに表現したものです。
現代人は科学的教育によって、問題を何でも頭で考え解決しようとし、身体・無意識に具わるはたらき(潜在する能力)への理解が容易ではないのですが、Nさんはこのように進んだのです。
しかしNさんは、後に次のような体験をしました。