(補)野口整体の説く「自然」
補足として、『偶感集』(全生社)から、野口先生の説く「自然」についての文章を紹介します。
それ以前
天衣無縫は美ではない。そこに自然の秩序が現われることによって美を感じる。
美は秩序であって、抛ってあるところにあるのではない。
一片の花にも美しさを感じさせる秩序がある。
一つかみの雪にも自然の秩序が整然とある。その自然の秩序を人体上に現わしているものを健康と私らは感ずる。
… … … …
自然は美であり、快であり、それが善なのである。真はそこにある。
しかし投げ遣りにして抛っておくことは自然ではない。
自然は整然として動いている。それがそのまま現われるように生き、動くことが自然なのである。
鍛錬しぬいてのみ自然を会することが出来る。
懐手で知った自然は自然ではない。
頭で造った自然はもとより人為のものである。
… … … …
自然というのは抛っておくことではない。その裡なる整然さがそのまま現われるところに、自然を私らは感ずる。
自然ということが元であって、頭での所産はただこれを彩るものである。それ故、彩りが濃くなりすぎたら、自然に還るべきである。