野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

第六章一(補) 成育歴をたどる意味

成育歴と情動の受け止め方の関係

 子どもの時に大人が自分の要求や不快に無関心だったり、一方的で親の都合や好みを押し付けるような態度だと、子どもは不満や寂しさを感じ、感潜在意識に「自分の要求は通らない」という無力感や孤立感、絶望・あきらめなどの思いを積み重ねていきます。

 その潜在的な思いが、日常的な不快情動をつよくし、自ずと内攻させる方向へ働いて健康と生活に影響を与えるのです。

 さらに、情動を悪いものとして抑圧するのが習慣化し、停滞すると、最初に起こった情動とは別に、感情が起きた事に対する自己嫌悪や悲しみ、コントロールできない「弱い自分」に対する怒り、罪悪感、 不安・恐怖・焦り、漠然とした落ち込みなど自己否定的な感情までもが起こるようになります。

 また、嫌な出来事を「なかったこと」にしようとしたり、自分の感情をコントロールできなくなることや、破壊的状況になるのではという恐れが慢性的に抜けなくなることもあります。

 まずは良い悪いという判断抜きに、何を、どう感じたのかをはっきりさせて、それからなぜそう感じるようになったのかを理解することです。

 感情を発達させ、ストレス耐性を高めることは、自分が自分の「親」となり、子どものままの自分を育てなおすに等しいことだと理解し、心と体の両面から、少しずつ進めていくことが必要なのです。