野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二2補足 心身一体と魂の不滅はなぜ矛盾するのか

ライサー氏の心身観にある宗教的背景 ライサー氏の「心身一体の考えに徹することは、不死への望みを断ち切ることになる」というところはちょっと分かりにくく、生前、金井先生も理解しきれないところがあって、このように思うのはなぜだろう?と何度か話題に…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二2①

①東西の医学の出会い― 西洋思想「心身二元論」の壁 池見氏は1977年9月、京都国際会議場で第四回国際心身医学会が開かれた際、組織委員長を務めました。 氏は、当時の学会会長であるアメリカのライサー氏(エール大学教授)の開会講演「東西の医学の出会いの…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二(補)

心身一如の医学と死生観 本文中にある引用ですが、長いので補足資料扱いとします。 池見酉次郎氏は『人間回復の医学』(創元社)で、次のように述べています。 第一章 まるごと健康からの再出発 私どもは、三〇数年前から、…現代医学の在り方に対する反省と…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二 1②

一で述べたように、アメリカやヨーロッパでは心理療法家や医師が、情動に関わる障害を治療する方法として東洋の身体行に注目し、研究がすすめられてきました。 近年では、ヴィッパサナ瞑想をメソッド化したマインドフルネス瞑想が、FacebookやGoogleなどの大…

第五章 野口整体と心身医学の共通点 二 1①

二「抑圧感情」を病理として認める心身医学が求められる現代 ― 池見学が裏付ける金井流心療整体の心身医学的根拠 二で取り上げる池見酉次郎(ゆうじろう)医師は、日本の心身医学のパイオニアです。患者を自宅に泊まらせるなど、自分のすべてをぶつけて向き…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一10②

体の外側(体表)から観察することの意味 フロイトは、「自我」という心のはたらきは皮膚に基盤を持っていると考えていました。生まれたばかりの赤ん坊は、最初は母親に抱かれた時の一体感を皮膚感覚を通して感じます。その後、自分と母親が分離した存在であ…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一 10①

①内臓に注目する西洋医学・体壁に注目する東洋医学 解剖学者・三木成夫(1925年生)は、人間の体を内蔵系と体壁系(体癖ではない)の二つに分けました。これは古代ギリシアのアリストテレス以来の大別のしかたでもあり、これをまとめると次のようになります…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一9

現代人の心の問題を考えた深層心理学者は東洋の瞑想法の意義を捉えた 湯浅氏は『気・修行・身体』(第一章 東洋的身心論と現代 7)で、心身相関的見方を開拓した西洋の深層心理学者や精神医学者の中で、東洋の宗教的修行法(身体技法としての瞑想法)に関心…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一8②

人間の「精神的成熟」を目的とする東洋の修行法 ― 呼吸法の訓練をする瞑想法は自律系機能との対話 (金井) 哲学者である湯浅氏は、現代の神経生理学の立場から、「人格の向上とは、より深い無意識の感情のはたらき・愛や慈悲というものが意識に表れてくるこ…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一8①

人間の「精神的成熟」を目的とする東洋の修行法 ― 呼吸法の訓練をする瞑想法は自律系機能との対話 金井先生は生前、「修行」という言葉の意味が通じなくなった…とよく言っていました。それが、未刊の原稿の内容に取り組む動機になったのですが、それは身体の…

コラム 骨盤の前後運動の可動性を高める

骨盤の前後運動の重要性 これまで、運動系の問題を自律神経が支配する領域と関連付けた観方というのは、学問的にはあまりされてきませんでした。 しかし近年、ヒラメ筋というふくらはぎの内部にあって重力を受け止めている筋肉が緊張すると、感覚神経ととも…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一7

深層心理学が説いた無意識とは生理学の自律系― 心身分離から心身相関へ これまでに述べたように、感覚器官を支配する感覚神経は大脳皮質に中枢があり、自律神経の方は皮質下(大脳辺縁系・脳幹)に中枢があって、両者は分かれているのですが、条件反射は、こ…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一(補)

(補足資料)東洋の修行法が目的とする情動のコントロール 湯浅康雄『気とは何か』 意志の自由になる皮質(感覚―運動)系の機能と、意志から独立した自律系の機能は、まったく無関係というわけではなくて、情動作用によって関連しているのである。したがって…

第五章 野口整体と心身医学の共通点一6②

近年、画像診断の技術が進み、これまでできなかった生きた人間の脳と情動の神経生理学的な研究が進んでおり、先に紹介したアントニオ・ダマシオの研究は、特に注目されています。 そして、ストレス性疾患の原因であり、人間の進化の過程で取り残された余分な…