野口整体 金井蒼天(省蒼)の潜在意識教育と思想

金井省蒼(蒼天)の遺稿から説く「野口整体とは」

2019-01-01から1年間の記事一覧

前後型5種・6種②―体癖論Ⅱ 15

前後型5種・6種 今回は前後型各種の特徴です。前後型共通の特徴として、立ち上がる時も上肢で動作し、歩く時も上肢がよく動く上肢行動型である、ということを補足させてください。 5種は疲れると6種的になり、6種は体が整って勢いが出てくると5種的に…

前後型5種・6種①―体癖論Ⅱ 14

前後型5種・6種に共通した特徴 今回は前後型5種・6種です。前後型の場合、体癖素質として前後型がある人と、適応のためそうなっている人がいるのが現代の特徴です。 時代的傾向として、前後型化することが社会的適応に有利に働く状況があるので、体癖素質…

(補)三種の母と四種の娘ー「違い」を理解する難しさと体癖

三種の母と四種の娘ー「違い」を理解する難しさと体癖

左右型3種・4種②―体癖論Ⅱ 13

左右型3種・4種各論 体癖論を学ぶ上では、「自分のものの見方は一面的である」ということを発見することが大切です。自分と共通していないと反感を感じる、という人が多いのですが、それを超えて、自分を理解し、自分と他者との違いを理解することを学びま…

左右型3種・4種①―体癖論Ⅱ 12

左右型3種・4種の共通した特徴―腰椎2番 左右運動と感情

上下型1種・2種②―体癖論Ⅱ 11

上下型1種・2種 思ったよりも書く内容がいっぱいで、二回になってしまいました。今回も上下型、1種と2種の特徴です。 上下型1種 1種は緊張した時、首(頸椎筋)から肩が硬くなって、首が前に出る。 考えることが要求を実現するための「運動」であり、…

上下型1種・2種①―体癖論Ⅱ 10

今日から上下型1種・2種の各論に入ります。 上下型1・2種の共通した特徴 上下型1種の体型的特徴はわりと似ていて、顔も長くて体型も細長いのが典型的です。でも、体癖は複合しているので、一見分かりにくい場合もあります。 しかし、上下型かどうかを観…

体癖各論-体癖論Ⅱ 9

五型十種の体癖 これからいよいよ、五型十種の体癖各論に入ります。 金井先生の『「気」の身心一元論』(2011年)には、第四章に体癖論が置かれ、体癖表としてそれぞれの体癖の特徴がまとめられています。 その後、先生の執筆はさらに増し、原稿が増え『上・…

「対話」における体癖②―体癖論Ⅱ 8

無意識的感受性の偏り―他者を理解するとは 先日、オードリー・ヘップバーンの写真を使いましたが、昔の女優さんは整形したり、無理に体を矯正するようなことをしていないので、却って自然そのままの美しさが出ている場合があるのです。 また、アメリカ的なの…

「対話」における体癖①―体癖論Ⅱ 7

整体個人指導における感受性の理解 金井流個人指導では、身体の観察を通じて受け取った「情動」体験に焦点を当てます。相手の感じ方(敏感に感じることは何か)を理解することで、「なるほど、ショックを受けるわけだ」とか、「怒り爆発するわけだ」など、相…

体癖修正とは何か②―体癖論Ⅱ 6

体癖的特性が偏ると、生きる力の全体性を損なう (金井) 体癖修正とは、体癖による「生活上の妨げとなるもの」を修正するということで、正確には体癖的偏り疲労の修正(さらには偏り疲労を作り出す体の歪みの修正)、という意味です。 師が言う「生活」とは…

体癖修正とは何か①―体癖論Ⅱ 5

生活に妨げとなる体癖現象を修正する 今回の内容は、上下型が主題になっています。背が高くて痩せていると、「上下型」に見えてしまうこともありますが、小柄な上下型もいますし、偏りで上下型的になっている人は相当にいます。 体癖としては、一番特徴的な…

体癖と運動習性―体癖論Ⅱ 4

体癖と運動習性 (金井) ある体癖は、ある傾向の感受性が余分にはたらくというものであり、体の体癖状況を観て、その人の持っている体の感じ方を知ることができるのです。 同じ体癖を有する人は共通した姿勢を取る傾向があり、その体型も類似しています(例…

体癖と感受性―体癖論Ⅱ 3

体癖の図 感受性・重心位置となる腰椎

運動系の研究から始まった人間の探求「体癖」-体癖論 2

運動系の個人特性を観る (金井) 師野口晴哉は、運動系の研究(裡の要求を実現する「構造と機能」の相違)が体癖論へと発展したことについて、次のように述べています(「体癖の活用」『月刊全生』)。 人間と運動系の構造 この体癖講座で私がお話しようと…

体癖修正-体癖論Ⅱ 1

「理性」では観えない体癖 今日から体癖Ⅱ、より具体的な体癖の内容に入ります。本の原稿では一つの章ですが、ブログでは二つに分けました。それは、この体癖論Ⅱ以降は、未完成の部分を含んでいて、補足や再編が必要な部分であることも申しあげておきます。 …

無意識に信頼をおく野口整体とユング心理学ー体癖論Ⅰ 9

「上虚下実」の身体と自我から自己への中心の移動 金井先生の生前、食事の時などに、先生と藤沢周平ものの時代劇の映画を見ることがありました。藤沢周平の世界観というのは独特で、私は物語の中で描かれる、個と全体の関係性、そして人間世界の葛藤や争いと…

個とは何か②-体癖論Ⅰ 8

個性化の過程と体癖の活用 野口晴哉先生は、「一人一人の人間の生き方が体の要求に沿っていくことが自然な生き方だ」と言いました。自己実現の力は、そのように生きることで、無意識から汲みだされてくるものだと思います。 しかし、成長し生きていく過程で…

個とは何か①-体癖論Ⅰ 7

科学的社会で失われた個性と創造性 今回は、「個性とは何か」が主題です。「体癖」というのは体(無意識)の側にある個性で、生まれつきのものです。木でいえば松や杉、欅などいろんな種があるようなもので、それぞれに性質の違い、個性があります。それはど…

「体」がつくる感受性の世界「体癖」③-体癖論Ⅰ 6

腰椎と体癖の関係 今回は体運動の中枢である腰椎と体癖の関係についての内容です。 先に「体癖は体運動以前にある」という野口先生の文章を紹介し、要求という数値化して測定できないものが中心にあると述べました。 野口整体には、「要求そのものが生命であ…

特別編 2009年 春公『科学と宗教』 おわりに

野口整体と現代

「体」がつくる感受性の世界「体癖」②-体癖論Ⅰ 5

体癖 開閉型 9種

「体」がつくる感受性の世界「体癖」①-体癖論Ⅰ 4

「自分の感覚によって、その感覚を眺めている世界」とは 今回紹介する文章は、2006年に月刊MOKUという雑誌に連載した記事が元になっています。本の原稿にはイラストがあって、体形の特徴と得意な動作、苦手な動作が良く分かるようになっています。 イラ…

(補)体癖は体運動以前にある(『月刊全生』)

補足として、野口先生の要求と体癖についての文章を紹介します。 要求の現れ方は体癖によって異なる 今迄、体癖とは体運動の無意的偏り習性であると説いておりましたがそれは説明の便宜の為であって偏り運動習性そのものが体癖ではない。…体癖とは何かという…

感覚と心の世界のつながり―体癖論Ⅰ 3

注意が集まる方向に感覚が働く 今回は、感覚の働き方と体癖についての内容です。 感覚の奥には「要求(心)」があり、それに沿った方向に感受性が敏感に働くため、人によって感じることに相違があります。 要求が体を動かし、感覚器を働かせているのです。そ…

科学にはない「人間を個人として理解する」智-体癖論Ⅰ 2

人間における個の探求 これを読んでいる人の中には、「自分が何種なのか知りたい!」と思う人もいるかと思います。早く「○種はこういう人」というのを知りたいとか。たしかに体癖は一見、人間のタイプ分けに見えますね。しかし体癖を学ぶ場合、まず「体癖と…

〔身体〕が個人である理由を明らかにした野口晴哉-体癖論Ⅰ 1

科学にはない自己を知る智―主体と対象が未分離な「禅の智」 今日からいよいよ体癖論が始まります。これは下巻の第九章に収録されている、かなり分量のある内容です。 近年、野口晴哉著『体癖』(筑摩書房)が文庫化され、精神科医の名越康文氏が体癖について…

(補)河合隼雄『宗教と科学』宇宙経験の意味 より

宇宙飛行士の宗教的体験 ユング派心理療法家の河合隼雄は、立花隆『宇宙からの帰還』(立花隆が宇宙飛行士に、彼らの内面的体験を取材し、まとめた本)を引用し、「宗教と科学」という問題に関連付けて論じています。 初期の宇宙飛行士というのは、理科系の…

宇宙の心に通う道筋と「脊髄行気法」-気の思想と目的論的生命観 23

脊髄行気法 今回は前回の「脊髄行気法」の続きです。 (金井) ヒトの体のできていく過程から脊髄神経を説明したいと思います。 受精後半月ほどで、が形成されます。そのなかの外胚葉より二十日から二十三日ほどで皮膚と神経と脳の基ができます。 それは外胚…

脊髄行気法-気の思想と目的論的生命観20

「心を無にし、息を整える」気と呼吸による精神文化 最初に、中巻『野口整体とユング心理学』から、整体指導における気についての文章を紹介します。金井先生は次のように述べています。 整体指導における「気」 野口整体の生命観は、「気の医学」の伝統を受…